2024年6月20日 13時00分 笹一酒造株式会社
2023 年 10 月、成田空港に“ラーメン界の絶対王者”と名高い富田治氏の直営店「松戸富田麺旦(まつどとみためんだん)」 がオープンした。中華蕎麦 とみ田といえば、創業以来、数々のラーメン人気ランキングで1位を獲得し、 イベント「大つけ麺博」のファン投票でも三連覇を達成。富田氏に一年以上にわたり密着したドキュメンタリー映画「RAMEN HEADS」が全世界で公開され、完璧なラーメンを追求する富田氏の妥協なき姿に多くの人々が胸を熱くした。
二十年弱に渡りラーメン業界の先頭を走り続け、つけ麺を日本の食文化へと押し上げた立役者・ 富田氏。彼が新店舗につけた「旦(だん)」の文字は、山梨県にある笹一酒造のラグジュアリー日本酒「旦」 に由来する。今回、笹一酒造の代表取締役社長・天野怜氏が「中華蕎麦 とみ田」のつけ麺やラーメンの試食を繰り返し、限定日本酒「旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂」を完成させ、「中華蕎麦 とみ田」「松戸富田麺旦」での販売が始まった。富田氏が惚れ込んだ笹一酒造の『旦』の魅力とは?日本酒とつけ麺という、異色のコラボレーションの狙いは?そのきっかけや、 思いを両社のトップであるふたりに聞いた。
◾️旦は他の日本酒とはまったく次元が違う、圧倒的な美味しさ
※左:笹一酒造 天野怜氏、右:とみ田 富田治氏
―― 千葉と山梨、そう近くない距離がですが、おふたりの出会いは。
富田氏: 笹一酒造の天野さんとは 2019 年に出逢いました。僕はもともとお酒が強くなくて、以前はまったく飲まなかったんです。でも、ラーメン業界の仲間に誘われて初めて日本酒の飲み比べをしてみたら、その味わい深さに惹かれて興味を持ちました。「中華蕎麦 とみ田」から独立した唯一の弟子、山梨の「中華蕎麦 うゑず」の上江洲恵介のところに行ったとき、「山梨の日本酒って何だろう?」と聞いたら、「うちで以前働いていたスタッフが蔵人になって造った酒です。飲んでみてください」と、出してくれたのが笹一酒造の「旦」でした。「旦」を飲んだとき、他の日本酒とはまったく次元が違う、圧倒的な美味しさに驚きました。それから特約店を探し、甲府市の三枝酒店にたどり着きました。笹一酒造のことを教えていただく中で、より日本酒への興味が湧き、試飲して学んだ後に、笹一酒造に連れて行ってもらい、天野さんと出会いました。
天野氏: 富田さんが初めて笹一酒造の蔵に来たのは、2019 年 1 月のこと。料理の素晴らしさや仕事に妥協せず向き合う姿勢に敬意を感じたのはもちろんのこと、人柄も素晴らしく感銘を受け、そこから交流がスタートしました。
◾️世界で評価される「旦」。至高の食中酒を目指して
天野氏: 笹一酒造はもともと関東随一の生産量を誇る酒蔵でしたが、1990年代をピークに日本酒業界全体の消費が陰りを見せました。そこで2014 年に、職人による手造りで高品質な酒造りに原点回帰し、ラグジュアリー日本酒ブランド「旦」を立ち上げました。2016 年にはワインの世界的格付け会社「ロバート・パーカー・ワイン・ アドヴォケート」が採点する日本酒版パーカーポイントで、100 点中 91 点を獲得。フランスでおこなわれる世界的な日本酒コンクール「Kura Master」2022 でプラチナ賞、2023 年には金賞、2024 年に再びプラチナ賞を受賞するなど、数々の賞や評価をいただいています。昔ながらの製造方法で手間も時間もかかる山廃造りを取り入れ、旨味をしっかり出す酒づくりに切り替えて少量生産で品質を高めています。世界中の人が食事と一緒に愉しむ日本最高峰の食中酒を目指しているので、食のプロである富田さんからの評価は、蔵にとって大きな自信に繋がりました。
◾️好きな酒は? の質問にはいつも、「旦です」と即答します
富田氏: 僕たちのつけ麺・ラーメンは、食べた瞬間「おいしい!」と感じていただけるクオリティを目指しています。本当にうまいものは、あらゆる工夫を施し、他者に真似できない複雑味と強烈な旨味を有しながらも、バランスを研ぎ澄ますことでお客様に難しさを感じさせない。ただ「うまい!」と食べてもらえる完成度の高いものに仕上がります。それは「旦」の酒も同じです。日本の象徴である富士山の麓、富士御坂の水を使ってつくられる、しっかりとした味わいの「旦」は、僕たちのつけ麺が持つ旨味を引き立て、倍増させてくれます。
◾️地質調査によって水の秘密を解明。富士・御坂の芳醇な水がもたらす複雑な味わいが、つけ麺の旨味を限りなく際立たせる
天野氏: 「旦」の一番の特徴は、世界で唯一の特殊な地形が生み出す“水”にあります。山梨県はミネラルウォーターの生産量が日本一。酒蔵がある笹子の湧水は「御前水」と呼ばれ、江戸時代には茶の宗匠たちを魅了していました。明治天皇が東京から京都にご行幸する際の携行飲料水にも選ばれたほど日本酒造りに適した良質の軟水です。2023年、この水の秘密を探るため、地質学の専門家の方に、笹一酒造の蔵を中心に大規模な地質調査を実施しました。
その結果、日本列島を東西に分けるフォッサマグナが山梨県を通り、さらに南へと続いており、なかでも大月市の笹子は、ユーラシア大陸と小笠原諸島側のプレートが衝突したあたりで、御坂層群と呼ばれる火山岩、海底火山噴出物の溶岩などで構成された土地です。火山地質で水はけが非常に良く、 富士御坂の雪解け水がミネラルを含む間もなく地下の不透水層を素早くとおり、何十年もの歳月をかけて濾過され清らかになり、地中へと注がれていきます。その貯水槽となる部分が、笹一酒造の蔵の真下に当たることが調査からわかりました。それ故、敷地内にある地下40mの井戸からは、硬度3の芳醇な軟水が、絶えることなくこんこんと湧いています。
◾️「旦」の新たなコンセプトを「富士清流天酒」に据える
天野氏: 酒造りに重要なのは、土壌と気象条件とつくり手の技術です。この地質調査を通じて、「旦」のコンセプトを【富士清流天酒】と再定義しました。「富士の清流を纏う天の酒」という意で、“天”には「富士の山頂からの日の出」「太陽を意味する“旦”」「日照時間日本一の山梨」「笹一酒造のロゴに含まれる八咫鏡」という意味があります。山梨を代表する地酒としてはもちろんのこと、富士山を象徴する日本酒として世界中の人に飲んでいただきたいと思います。
◾️全ての始まりを表す言葉「旦」。「新たな始まり」という意味が空港にぴったりだと思った
富田氏: 僕が愛する日本酒「旦」の漢字は、フォルムが富士山の頂きから見る日の出のようで、一文字で「新たな始まり」「物事すべての始まり」という意味を持つ、と天野さんから聞きました。世界へ飛び立っていったり、世界から日本を訪れたりする“空港”という場にぴったりだと思い、店名を「富田麺旦」にしたい、「旦」の文字をお借りしたいと思い、すぐ天野さんに連絡をしました。
とみ田系列の出店の際、店名には強いこだわりを持っています。例えば初の東京出店の「松戸富田麺絆」の『麺絆(めんばん)』という言葉は、尊敬する師匠・山岸さん(東池袋大勝軒)が愛した言葉です。今回、日本の玄関口となる成田空港の店舗名を悩んだ時、「旦」の意味を思い出し、弟子や三枝酒店など大切な人たちが繋いでくれた笹一酒造との縁を想い、決めました。それに僕が飲んで感動した「旦」を、より多くの人に飲んで愉しんで欲しいと思ったんです。
天野氏: 「旦」は流通を限定した特別な日本酒なので、これまでコラボレーションやPB(プライベートブランド)を作ったことはありません。しかし、富田さんが「旦」を愛してくれているので、断る理由はありませんでした。2023 年 4 月に富田さんから連絡を受け、「旦」の意味や想いを改めて確認し合い快諾しました。「旦」は【富士清流天酒】をコンセプトに、世界中の人に愉しんでもらうことを目指す日本酒です。ラーメンという日本を代表する食と日本酒、ともに世界へ挑戦するつもりで、中華蕎麦 とみ田専用の「旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂」を作りました。
◾️ラーメンは世界に誇る日本食。「旦」の真髄は、食事とのペアリングで発揮される
富田氏: ラーメンは提供の仕方、味わいなど、1 杯のラーメン(つけ麺)に店主のこだわりや人間性が集約されている面白い食べ物です。日本では寝る間も惜しんで仕込んだものでも付加価値をつけられない風潮が続いています。今後ラーメン屋を志す若者たちのためにも、薄利多売以外の選択肢を確立すべきです。良い食材を選び抜き、手間ひまをかけ、席数を減らしてもお客様に丁寧に接し、その分のお代をいただくようにしています。今回のコラボに関しても、「旦」を嗜みながら食べることで、より一層つけ麺の旨味を感じることができるでしょう。食と酒とのペアリングも付加価値のひとつです。
天野氏: 食文化や現代人の味覚は少しずつ変化しています。2014 年に誕生した 「旦」は、当初と比べてアルコール度数を低くし、発酵過程を変更することで、特徴である複雑性を残しながらも、やや軽快に仕上げるようにしています。「旦」らしさの根幹は変えないまま、現代人の食事に合わせて常に変化することを心掛けています。時代に沿った日本酒であることを目指し、変わり続けることが“日本文化”として必要なことだと考えています。
◾️「つけ麺×日本酒」成田空港から新しい文化が創造される
今回の限定日本酒「旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂」は、従来のコラボレーションやプライベートブランドとは一線を画す。「中華蕎麦 とみ田」のつけ麺と、“富士清流天酒”「旦」は、原料や製造過程すべてにおいて、こだわり抜いている。複雑ながらも旨味がしっかりしていて、濃厚で奥深く芳醇でインパクトのある味わいだ。「旦」は食事と合わせることでより美味しさを感じる日本酒であり、 「中華蕎麦 とみ田」のつけ麺やラーメンとの相性は抜群だ。どちらも癖になり、翌日にはまたすぐ食べたくなり、飲みたくなる。今まで自社ブランドに誇りを持ち、滅多なことではコラボレーションはしてこなかったが、互いをその分野の一流として認める両者が、運命に導かれるよう出会い、一つの逸品がこの世に生まれた。日本酒は古来からの伝統文化、そしてラーメンは日本の国民食である。このコラボから新時代のペアリング文化が広がるかもしれない。ぜひ「松戸富田麺旦」 に足を運んで、ここだけで飲める「旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂」をつけ麺とペアリングしてみてほしい。新たな食文化の芽吹きを感じるはずだ。
<商品紹介と店舗紹介>
■旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂
「新たな始まり」を意味する「旦」。
山梨の地が紡ぐ三百六十年の歴史と
現代の食文化を融合させるモダンな日本酒。
芳醇な富士水系の恵みがもたらす濃厚で奥深く複雑な味わい。
富士の清冽な水で醸す天の酒「旦」は、世界を翔ける。
商品名:旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂
原料米:山田錦100%
アルコール度数:15%
※笹一酒造での販売はありません。「中華蕎麦 とみ田」「松戸富田麺旦」限定での販売です。
<味わい>
富士御坂の清冽で芳醇な水の恵みによる、濃厚で奥深く複雑な味わい。シルクのようなきめ細やかな口当たり、しっかりとした旨味を感じる日本酒。美しい余韻を長く楽しめる。
<旦の文字について>
ラベル前面に大きく書かれた「旦」の書は、書家の金澤翔子氏の作。ブランド立ち上げの 2014 年に「世界で勝負するには、自由で伸びやかで力強いこの書が必要だ」と依頼したもの。今回、「松戸富田麺旦」の看板も、笹一酒造を通じて 10 年ぶりに金澤翔子氏に依頼し、書いてもらった。「中華蕎麦 とみ田」と「旦」との絆を表現する要素のひとつである。
【旦 純米吟醸 無濾過生原酒 とみ田別誂 取り扱い店舗】
■中華蕎麦 とみ田
所在地: 千葉県松戸市松戸1339 高橋ビル1F
営業時間: 11:00~15:00 ※麺、スープ切れ次第終了
食券販売:8:00~15:00
※食券の購入時に案内予定時間をお知らせします。ご案内予定時間は15:00まででしたら、時間の調整も可能です。
電話番号: 047-368-8860 ※電話予約は行っておりません
■松戸富田麺旦
所在地:千葉県成田市三里塚御料牧場 1-1
成田国際空港第一旅客ターミナル 4 階
営業時間:8:00~20:30 ラストオーダー
電話番号:0476-32-6822
■笹一酒造について
笹一酒造株式会社は山梨県の酒街道の入り口である大月市に位置し、1661年寛文元年に花田屋として創業致しました。後に花田屋を継承し、初代蔵元となった天野久が、1919年に現在の笹一酒造と改名して統合した三百有余年の歴史を持つ会社です。「笹一」は日本酒の意で使われた「笹」の字と、日本一の富士山の「一」の字で最高の日本酒を醸造したいという思いが込められています。創業時より富士・御坂山地の深層地下水と山梨で栽培されたお米で日本酒を醸し、さらに、日本酒蔵でありながらワインも醸造しています。御坂山地の日当たりと水捌けの良さを生かした大地でぶどう畑を営み、ワイン造りも70周年を迎えます。この土地の恵みの数々を、旨い酒に変えて地元の人たちにお届けしたい。それが笹一という銘柄が誕生した時からの願いです。笹一酒造のラグジュアリー日本酒ブランド「旦」は、フランス発の世界的日本酒コンクール「Kura Master」において、2024年に「旦 純米大吟醸」がプラチナ賞を受賞するなど、笹一が誇る「旦」は、世界で高い評価を受けています。
■ 笹一酒遊館について
笹一酒造の敷地内には、蔵元直営ショップ「笹一酒遊館」や直営カフェ「SASAICHI KRAND CAFE(ササイチクランドカフェ)」があります。ショップでは、ここでしか手に入らない商品の販売や、試飲専用カウンターやギャラリーがあり、笹一の世界観をゆったりと味わえる空間になっています。
公式オンラインストア/SNS
・公式オンラインストア:https://www.sasaichi.com/
・Instagram:https://www.instagram.com/sasaichi_shuzou/
関連ブランドについて
・富士清流天酒『旦』:https://www.sasaichi.co.jp/dan/
・『笹一』:https://www.sasaichi.co.jp/sasaichi/
・『八咫笹一』:https://www.sasaichi.co.jp/yata/
・日本ワイン『OLIFANT』:https://www.sasaichi.co.jp/olifant/
会社概要
商号:笹一酒造株式会社
代表者:代表取締役社長 天野 怜
所在地:〒401-0024 山梨県大月市笹子町吉久保26
創業:1661年(寛文元年)
設立:1919年4月
事業内容:清酒·焼酎·果実酒·甘味果実酒の製造、販売
URL:https://www.sasaichi.co.jp/