2024年6月20日 14時00分 キユーピー株式会社
キユーピーは、ドレッシング・マヨネーズの使用済みプラスチックボトルを店頭で回収し、水平リサイクルをめざす実証実験をスタートしました。集めたボトルから再度、ドレッシング・マヨネーズのボトルを作る水平リサイクルの実現に向けたさまざまな技術検証を進めています。食卓で使い終えたボトルが再び新しいボトルへと生まれ変わり、再度店頭に並ぶことをめざすキユーピー 研究開発本部 松岡 祥郎とサステナビリティ推進部 田頭 祐介にその取り組みと挑戦について聞きました。
私たちが挑戦するプラスチックボトルの“水平リサイクル”
田頭「“水平リサイクル”とは、回収したアルミ缶を原料として新しいアルミ缶を作るような、用途を変えない資源循環方法のことです。飲料用ペットボトルは資源として回収するルートが確立されつつあり、再び飲料用ペットボトルに生まれ変わることが世の中に浸透してきていますが、ドレッシングやマヨネーズのボトルで水平リサイクルを実現するにはまだ課題があります」
松岡「ドレッシングボトルは主にPET(ポリエチレンテレフタレート)という飲料用ペットボトルと同じ素材で作られていますが、ボトルに付着した油を回収後の洗浄工程で除去できないため、水平リサイクルに適さないと考えられていました。しかし、近年の技術向上により洗浄能力が上がってきていることから、飲料用ペットボトルと同様の水平リサイクルの流れに参加することも想定し、検証を進めます」
田頭「一方、マヨネーズボトルはPE(ポリエチレン)というPETとは異なる種類のプラスチックからできており、飲料用ペットボトルのような水平リサイクルの仕組みは整っていません。そのため、ドレッシングボトルとは別のルートで回収し、マヨネーズボトル独自のリサイクル工程を確立する必要があります」
キユーピー サステナビリティ推進部 田頭 祐介
松岡「キユーピーグループは、プラスチックの削減・再利用やCO2排出量の削減を目標にさまざまな取り組みを推進しています。プラスチックを作るのに使われる石油は、限りある貴重な資源です。新しい資源を掘り出すのではなく何度も再利用することが、環境にやさしい持続可能な社会を作るために大切だと考えています。そのため、私たちはドレッシングやマヨネーズのボトルでも水平リサイクルの可能性を探っています」
実証実験を通じて実用性の高い解決策を導き出す
松岡「今回の実証実験では、主に二つの大きな課題に焦点を当てて検証します。一つは、再資源化工程に必要な使用済みドレッシングボトルやマヨネーズボトルを回収できるか、もう一つは水平リサイクルを実現するための技術検証です」
田頭「水平リサイクルは、使用済みボトルがないと成立しません。また、ただ回収するだけではなく、ご家庭で使用済みボトルを洗浄いただき、油をできるだけ落とした状態で回収することも重要になります。今回の実証実験では、どのくらいの回収量が見込めるか、回収した物の状態はどうかを確認していきます」
松岡「回収したボトルから新たにボトルを作れたとしても、従来のボトルと同等の品質を維持しなければなりません。私たちは品質を最優先に安全・安心なものづくりを行うことを大切にしてきています。いくら技術的に可能でも、品質面に懸念があれば、それを推進するべきではありません。そのためにも検証を自社内だけではなくお客様、関係各所の皆さまにご協力いただきながら、実際のプロセスで実施する必要があります」
実証実験を通じて実用性の高い解決策を導き出す
松岡「今回の実証実験では、主に二つの大きな課題に焦点を当てて検証します。一つは、再資源化工程に必要な使用済みドレッシングボトルやマヨネーズボトルを回収できるか、もう一つは水平リサイクルを実現するための技術検証です」
田頭「水平リサイクルは、使用済みボトルがないと成立しません。また、ただ回収するだけではなく、ご家庭で使用済みボトルを洗浄いただき、油をできるだけ落とした状態で回収することも重要になります。今回の実証実験では、どのくらいの回収量が見込めるか、回収した物の状態はどうかを確認していきます」
松岡「回収したボトルから新たにボトルを作れたとしても、従来のボトルと同等の品質を維持しなければなりません。私たちは品質を最優先に安全・安心なものづくりを行うことを大切にしてきています。いくら技術的に可能でも、品質面に懸念があれば、それを推進するべきではありません。そのためにも検証を自社内だけではなくお客様、関係各所の皆さまにご協力いただきながら、実際のプロセスで実施する必要があります」
キユーピー 研究開発本部 松岡 祥郎
田頭「今回の実証実験は他社との協業により進めています。ドレッシングボトルについては日清オイリオグループさんと、マヨネーズボトルは、CLOMA※の取り組みの一環として味の素さんと協力しています。私たちだけでは難しい課題も、他社や業界と協力することで解決策を見出すことができると考えています」
※CLOMA: 「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(英文名:Japan Clean Ocean Material Alliance)は、海洋プラスチック問題の解決をめざして設立された企業や団体の連合体です。
松岡「商品を使用してくださっているお客様、資源回収事業者さんやリサイクル事業者さんなど、さまざまな方々がいるからこそ循環の道ができます。どれだけ私たちが『循環できるはずだ』と正論ばかり並べて推し進めようとしても、関わる皆さまの協力がないと前には進めません。いろいろな立場の方とも理解し合い、納得できる形で進めたいと思います」
持続可能な社会に向けて「いってらっしゃい」と回収ボックスへ
ドレッシングやマヨネーズボトルの水平リサイクルは、技術やメーカー側の強い想いがあっても、お客様の協力なくして実現の道はありません。
田頭「使用済みボトルの回収を継続的な取り組みに発展させ、最終的に水平リサイクルを実現させたいという想いがあります。プラスチックは決して悪者ではなく、私たちの生活に欠かせない貴重な素材です。だからこそ、循環という形で使い続ける方法を皆さんとともに作り上げたいのです。まだまだ多くの壁が立ちはだかっている取り組みですが、一緒に未来を形作るため、ぜひお客様にもこの挑戦に参加していただきたいです」
松岡「私たちは環境にやさしい持続可能なボトルとは何か?を常に問い続けてきました。2023年、キユーピーは国内調味料で初めて、再生PET樹脂を100%使用したボトルを一部のドレッシングに採用しました。これまでの知見や検証の積み重ねをふまえた広い視野での検討の結果、現状では水平リサイクルに挑戦することが最も適切であるとの仮説のもと今回の取り組みを進めています。どんな選択にも一長一短があり、水平リサイクルが最適解であるかはまだわかりませんが、挑戦することで新たに見えることもあると思っています」
田頭「今回の実験での回収店舗は限られますが、まずは、ドレッシングやマヨネーズのボトルが資源となる道があることをご理解いただき、関心をもっていただけるとうれしいです。今回の実験にご協力が可能な地域の方々には、ドレッシングやマヨネーズを使い終えたボトルを『さようなら』と廃棄するのではなく、ボトルを水で洗って少しきれいにしていただき、『またね。いってらっしゃい』という気持ちで店頭の回収ボックスにお持ちいただけるとうれしいです」
松岡「お客様からも『使い終えたボトルを廃棄するとき、少し罪悪感がある』という声をいただいています。私たちはお客様のそんな気持ちも軽減したいのです。私たちキユーピーグループには人と環境をおもいやり、笑顔の溢れる未来をつくるという使命があります。今回の実証実験で回収したボトルを再びボトルとして生まれ変わらせる循環のための技術を進化させます。皆さんとともに地球環境を守り、子どもたちに美しい自然と明るい未来を残すための大きな力となることをめざします」
実証実験の詳細
【ドレッシングボトル】
回収期間:2024年5月29日(水)~11月末
実施場所:千葉市内の「イオン」「イオンスタイル」8店舗
イオンスタイル幕張新都心、イオンスタイル幕張ベイパーク、イオンスタイル検見川浜、イオンマリンピア店、イオン稲毛店、イオン海浜幕張店、イオンスタイル鎌取、イオンスタイル千葉みなと
回収対象:家庭で使用したドレッシングや食用油の使用済み油付きPETボトル
回収方法:1.ドレッシングボトルを水ですすぐ 2.店頭設置の回収ボックスに入れる。
食用油ボトルもあわせて回収しています。
【マヨネーズボトル】
回収機関:2024年7月1日(月)~2025年6月30日(月)
実施場所:イトーヨーカドー溝ノ口店 ※状況に応じ、店舗追加の可能性あり
回収対象:家庭で使用済みのマヨネーズボトル
回収方法:1.フタとシールをはがす 2.水を1/3入れて、振って洗う 3.ハサミで半分に切り、スポンジで洗う 4.乾燥させ、マヨネーズボトルのみ回収ボックスに入れる
2024年6月公開
※内容、所属、役職等は公開時のものです