”食の隠れ家”イベントレポート
併せて日本の伝統工芸が持つ卓越した技から生まれた、秀逸な商品を2点紹介したい。
イベントレポート
当日のイベントの様子。次々に提供された料理の美味しさに、参加者たちの会話も弾む。多くの人がお米の美味しさに驚いていた。
「食料自給率」という言葉は、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。これは食料供給に対する国内生産の割合を示す指標のことで、単純に重量で計算することができる「品目別自給率」と、食料全体について共通のものさしで単位を揃え計算する「総合食料自給率」の2種類がある。さらに総合食料自給率は、人が生きていくのに必要なエネルギー量で換算するカロリーベースと、経済的な面で換算する生産額ベースとがある。
2021年度のカロリーベースの食料自給率はわずか38%。特にカロリー優等生の米消費量の減少が著しいことが、それを助長している。国民ひとりが1年間に食べるお米の量は、1962年度の118.3kgをピークにして1970年度は95.1kg、1990年度は70kg、2020年度は50.3kg(1日0.9合)と、減少の一途をたどっている。しかも過程で炊飯する割合も低下している。
今回のイベントは、日本が抱える食料問題に想いを馳せつつ、日本食の素晴らしさを再認識する、という試み。そして『男の隠れ家プレミアム』では、食料事情改善に少しでも手助けになるよう商品を、見極めようと心がけた。
素晴らしき食材の数々が教えてくれた”食べる”という喜び
お米をはじめとして、全国から集められた数々の秀逸な食材は、順次『男の隠れ家プレミアム』で扱っていく予定。
左/ごはん(ゆきさやか)とマロンポークの豚汁、右/調理中の小田野さんと長谷川さん。
希少で美味しいお米と味を引き立てる器に着目
その日の夕刻、都内にある某キッチンスタジオは、食欲をかきたてる香りが充満していた。茨城県水戸市で食と農に関する人材教育を行う「鯉淵学園農業栄養専門学校」の学園長・長谷川量平さんと、食育インストラクターの小田野仁美さんが、日本各地から集められた食材を次々に調理していく。
前ページで触れた通り、米の国内消費量は1962年をピークに減り続けている。同時に日本食には欠かせない魚介類、味噌や醤油などの発酵食品の消費も減少。にも関わらず、フードロスが社会問題化。今回採用した21品目の食材のうち、14品目がフードロスに該当している。そこで今回のイベントは、日本の米や伝統的な献立の魅力を再認識しつつ、フードロスに思いを巡らす狙いもあった。
選ばれたお米は、北海道の希少品種「ゆきさやか」。これは北海道内の作付面積中、わずか1%未満しか栽培されていないという超レア品種である。北海道のブランド米選出の際、「ゆめぴりか」と最終選考まで競った品種だ。しかも味や甘味の質、食感では「ゆきさやか」の方が上回った。だが、栽培が難しく収穫量が少ないために選ばれなかったのである。
一般市場ではなかなかお目にかかれない「ゆきさやか」は、来場者にも大変好評であった。たくさんのおかずが並んだにもかかわらず、「一番印象に残ったのはごはん」と答えた人が多かったほど。今後『男の隠れ家プレミアム』で販売予定。
お米が美味しく感じられる器が用意されたことも好評であった。茶碗はすべて丸利玉樹利喜蔵商店提供の美濃焼で、手に取ったときの質感やごはんの湯気が立ち昇った際の様子など、美味しさを増す効果を演出する。こちらも今後の展開を、大いに期待してほしい。
今月のPICK UP
日本の伝統工芸の技術を今に生かした2つの逸品。
有田焼セラフィルター
飲み物の味わいがまろやかに。伝統の技が生んだハイテク商品
16世紀末、豊臣秀吉が朝鮮への出兵を全国の大名に命じた。それに従い、朝鮮半島に渡った肥前(佐賀)領主・鍋島直茂は、朝鮮人陶工を佐賀の地に連れ帰る。そのうちのひとりである李参平が、元和2年(1616)に有田東部の泉山で白磁鉱発見し、日本で初めて磁器の製造に成功。以来、江戸時代後期になるまで、有田は日本で唯一の磁器生産地であった。
そんな歴史を誇る伝統工芸有田焼の技術を取り入れ、飲み物の味を劇的に美味しく変える陶器製フィルター「セラフィルター」が誕生。これでコーヒーを淹れた場合、紙フィルターでは不可能であったコーヒーの雑味をブロックし、旨味成分である豆の油は通す。おかげで、誰もが一流バリスタに近づけたと思うほど、コーヒー豆が持つ本来の旨味が味わえるのだ。
このフィルターは、数ミクロンという穴が無数にある多孔質セラミックで作られていて、遠赤外線効果とセラミックスの力で水のカルキ臭や飲み物に含まれる不純物を取り除く。安いワインやお茶、水道水も劇的に旨くしてくれる。
【商品詳細】
商品名:有田焼 セラフィルター
価格:3,300円 ~ 4,950円(税込)
マネークリップ
使い込むほど風合いが増し自分だけのお洒落も演出できる逸品
神社仏閣や仏壇、神輿などに装飾と補強を目的として取り付ける金物を錺金具と呼ぶ。その歴史は古く、飛鳥時代に建てられた法隆寺金堂にも使用されている。
神の世界や極楽浄土を表現し、長い歴史の中で人々の心を癒してきた。その技術を生かし、暮らしの中に飾る楽しみをプラスするブランドとして誕生したのが「錺之-KAZARINO-」だ。錺之は、京都で約50年間、錺金具を作り続けてきた。その確かな技が、この「マネークリップ」でも随所に発揮。
まず着目したいのが、日本の伝統柄を取り入れた意匠。長く使うほど表面が酸化し、この意匠を引き立て味が出る。使いやすさを追求した幅広い形や、お札の出し入れがスムーズになるよう反り返り部分を曲線にするなど、細部まで匠の技が光っている。
【商品詳細】
商品名:マネークリップ
価格:9,900円(税込)
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