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男の隠れ家コンテンツ

  • 本格派バーの扉を開ける

    ※本記事の内容は雑誌掲載時点の情報です。オーセンティックとは「信頼できる正統派」という意味を持つ。ちまたに酒場は数あれど、ちょっと良い酒を飲むなら腕・味・もてなしが三拍子そろったBarがいい。さらにプラスαで“雰囲気がいい”となれば最高だ。2010年以降にオープンした、比較的新しい「本格的なBar」へ今夜、一緒に特別な一杯を求めて出かけませんか?東京から1時間、海辺のバーへの小旅行Bar d【神奈川・江ノ島】2014年11月、片瀬江ノ島駅から数十歩のところに、オーセンティックなバーが誕生した。潮が香り、トビの鳴き声が聞こえる稀有なバーである。喫茶店と間違えた客が扉をたたくのも仕方ない。天気のいい日はテラスの窓を開けはなし、店内は大胆でいて落ち着いた色彩でまとめられている。ソファに身をあずけたら、もうずいぶん遠くに来てしまった気分だ。あとはバーテンダーの田辺武さんに委ねればいい。供されたのは、豊潤な甘さをたたえるワイン。一口大のブルーチーズをサンドしたドライイチジク、フォアグラとチョコが添えてある。メニューはないが、酒とスイーツのマリアージュに田辺さんの抜群のセンスが光る。どんな味わい方がよいのかたずねてみた。「自由でいいんですよ」と前置きをして、こう教えてくれた。「イチジクを口に入れて、多めに甘いワインを含んで。うつむいて目を閉じながらよく噛んでみてください」。イチジクの軽い酸味や種の食感、濃厚なブルーチーズのコク、ワインの豊かな甘みが渾然一体になる。遠くから「ピーヒョロロロロ」なんて鳴き声が。瞬間、ここが楽園になった。繁華な渋谷駅前に潜む“秘密結社”の入り口BAR CAPRICE【東京・渋谷】渋谷の名門バーで研鑽を積み、2014年11月に開店。ここでなら、惜しまれつつ幕を閉じたあのバーのカクテルにも、師匠ゆずりのもてなしにも合える。目立つ看板はない。これぞ隠れ家である。だが女性客も多く、店内は和やかなムード。時にブラックなジョークも飛ばす、バーテンダー・福島寿継さんの軽妙な話術と人柄ゆえだ。渋谷 109 ビルの「コ㆑ヒオ」、渋谷センター街の「コ㆑オス」(現在は共に閉店)。異色の場にあったオーセンティックバーで、マスターの右腕として活躍してきた。だから、「ここなら安心」という女性客が多い。福島さんが言う。「秘密結社のようでしょ。でもうちは奥様、旦那様が公認してくれるバーなんです」。華やかな夜にふさわしいチャンピオンカクテルBar 耳塚【東京・銀座】数々の大会優勝者を輩出する銀座「リトルスミス」にて18年。自身も世界大会で優勝を果たした耳塚史泰さんが2014年2月に開店。本バーテンダー協会主催の全国バーテンダー技能競技大会で総合優勝を果たしたのは、2011 年のこと。翌年には IBA ワールドカクテルチャンピオンシップで部門優勝。栄誉あるチャンピオンカクテルが飲める。「大会は華やかな舞台ですが、バーテンダーはお客様の求めに的確に忠実に応えるもの。「ストライクゾーンに球を投げるイメージです」。耳塚さんの言葉の端々には、堅実な人柄がにじみ出る。前店で着ていた真っ白なバーコートでなく、ベストを選んだのも、「気張らずフットワークよく動きたい」という心の表れである。森の香りがする空間でモルト&ラムを味わうBar 3wood【東京・浅草】2012年7月開店。前面に木を用いた空間は、森にいるような心地良さ。迷い込んだ気分になって、未知の酒にトライしてみたい。「木々が造る自然のトンネル。それがこのバーを造る時に思い浮かんだんです」と、バーテンダー・堀江景太さんは言う。無垢の木を多用し、窓からは木々の緑が望め、一歩店内に入ると気分ががらりと変わる。酒は、シングルモルトとラムが二本柱。「自宅のストックが最近減ってきちゃって」と苦笑するように、棚にはこつこつ買い集めた好きな酒を並べる。あまり見かけないラベルの希少な酒も多い。迷い込みそうになってもご安心を。目の前の頼もしいバーテンダーがアテンドしてくれる。店主が惚れ込むアイリッシュとマティーニが主役BAR K's Ave. DARA【東京・池袋】2015年5月開店。アイリッシュウイスキーを希少な銘柄も含めて常時約20種そろえ、カクテルにも心を砕く。その心とは?様々な酒を飲んでみた中で、バーテンダー・大石和広さんがたどり着いたのが、アイリッシュウイスキーだ。「ウイスキー発祥の地といわれてますし、なにより滑らかで飲みやすいんです」。一方で、「 20代はマティーニに費やした」と言うほど、マティーニを大事にしている。バーを訪ねては研究を重ねた。目指したのは、喉を滑るようでドライ感もある配合。大石さんいわく、「カクテルは作り手の数だけ味があるし、ウイスキーにはロマンがある」。ここに来たなら、ぜひその両方を味わいたい。駆けつけには喉を潤すハイボールBAR 長谷川【東京・根津】根津の静かな細道に、2015年4月開店。キレのいい氷なしのハイボールと、小腹を満たす料理でごきげんになれる。一日約200杯も出るハイボールの名店で経験を積み、自身の店を構えた。そんな前情報を知らない客も、この一杯を飲むと「おっ」となる。注ぐのにかかる時間はわずか数秒。冷凍庫でキンキンに冷やした「サントリー角」を用いるため、氷を入れずともヒンヤリ。薄まることもない。オールドファッションな店の雰囲気同様、カクテルもごくスタンダードなものを丁寧に作る。うれしいのは、サンドイッチなどの軽食があること。明るめの照明のもと、本を片手にグラスを傾けるのも至福。日常を抜け出せるエアポケット空間bar cafca.【東京・南青山】2012年11月に開店したバー。階段を下りた先は、まるで時間が止まった廃城のごとき世界。早い時間の開店で、白昼夢を見たような気分に。「自分でも時々時間の流れがわからなくなります」。バーテンダー・佐藤博和さんが話すように、日常の喧騒とは無縁の空間である。供するのは、古い時代のものや造り手の思いが込もった酒。注ぐのはバカラ、モーゼルといったグラスで、その美麗な輝きにしばしうっとりとなる。カクテルはもとより、コーヒーも美味。自家焙煎の豆をネルで一杯ずつ淹れる。コーヒーカクテルの美味しさは言わずもがな。ちょっと厭えんせい世したい時、自分の時間を取り戻したい時、エスケープできる。女性バーテンダーが作る真心のこもった一杯に時を忘れるBAR アンドレイ【京都・祇園】祇園の中心から少し離れた閑静な一角、扉を開ければ、そこにバーテンダー・今泉さんが作り出すもてなしの空間が広がる。2012 年 6 月オープン。祇園の北、ビルの 2 階にあるバー。バーテンダーの今泉麗さんがホテルなどで十数年働いた後、満を持してバーを始めた。店名は自身の名前と「&」をかけている。対となるのは酒、そして客だ。「この店で自分の時間をゆっくり過ごしてほしい。私はそれをお酒と会話でお手伝いする感じです」と今泉さん。特製のブラッディマリーはトマトを丸ごと一個使い、果肉を残した飲み応えのある一杯。秋になると柿やイチジク、ラ・フランスを使ったカクテルも登場する。和とモダンが融合する町屋のバーで甘いひとときをWINE & SHOT BAR The door,, 高倉店【京都・四条】京都の伝統的な町屋を活かした落ち着いた雰囲気の和空間では、非日常の格別な時間を過ごすことができる。2010 年に四条高倉の町屋を改装しオープン。一枚板のカウンターは 9 席用意され、そこから見える坪庭など落ち着いた和の魅力が広がる。1751年から続く日本を代表する造園「植治」の小川勝章氏が手がけた庭を眺めながら飲む酒は格別だ。また、2 階にはテーブル席があり個室も 5 部屋用意。ソムリエの溝口達也さんは「バーテンダーと私とシェフで、ホテルバーに引けを取らないおもてなしを提案しています」と語る。デザート感覚で味わえるフ㆑ッシュフルーツのカクテルは絶品。スコッチウイスキーに酔いしれる秋の夜BARPARKMORE【大阪・北新地】「ウイスキーに対する間口を広げたい」気軽に酒のことを教えてくれる、気さくな店主と酒談義に華を咲かせるもまたよし。賑やかな北新地の繁華街にある隠れ家的バー。店内には店主・高谷幸次さんが集めたスコッチウイスキーがズラリと並ぶ。その数はスタンダードから㆑アなものまで約300本に上る。元はトラック運転手だったという高谷さんは、その頃からスコッチウイスキーの大ファン。酒の味と歴史を知るほどに、その奥深さに魅せられて2002年、ついにバーをオープンした。現在は当地に移転して 3 年の月日が流れ、今宵もスコッチファンが店のドアを叩く。しかし高谷さんいわく「ハードルを高くしたくはないんです。一人で、あるいは恋人と気軽に飲みに来てほしい」。その言葉通り、高谷さんは客によって飲みやすい酒を提供するなど配慮を怠らない。スコッチ初心者であっても気兼ねすることなく時間を過ごせるアットホームな雰囲気も店の魅力となっている。シェリー樽の匂いが香る上質の一杯を味わいながら、自分の時間に浸る。あるいは客同士で好きなスコッチの話で盛り上がるのも一興だ。----------------------------------Recommend Contents 詳しくはバナーをクリック↓メタルカードウォレット JUSTE CHIRONスキミングが防止でき、ICカードがそのまま使える。創業50年、滋賀県草津市の金属加工メーカーが本気で作ったメタルカードウォレット。詳しくはバナーをクリック↓折燕 ORI-EN 二重タンブラー 260ml 310ml 全3色保温保冷に優れた二重構造、唯一無二のデザイン。

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  • 魔法の天然石「ROCKS」で氷いらずのキンキンドリンクを楽しもう!

    天然石アイスキューブ「ROCKS」が日本上陸!輝く美しい天然石で瞬間的な冷却を行い、キンキンに冷えたドリンクがすぐに出来上がり。冷たさをキープしたまま、味を薄めることなくドリンクを楽しめる「天然石アイスキューブROCKS」が、クラウドファンディングで大人気となり、ついに日本に上陸しました!これまでのアイスキューブには、アルコールの匂い移りや冷却持続時間の短さなどの問題がありました。しかし、一つ一つ丹精込めて磨き上げられた天然石の「ROCKS」なら、そんな悩みはもう過去の話。石自体が冷えることで長時間の冷却効果を発揮し、グラスに入れるだけでキンキンに冷えたドリンクがすぐに完成します。高級感溢れる天然石の魅力プロの石職人による繊細な職人技と、厳選された高品質の花崗岩が生み出す「ROCKS」は、見た目の美しさも格別。6つのストーンはそれぞれ異なる色と模様を持ち、うっとりするような手触りは、まさに一級品の証です。ドリンクを飲むだけでなく、天然石そのものの魅力も存分に味わえるのが魅力です。丸みを帯びた形状は、グラスを傷つけないよう配慮された職人のこだわり。使い勝手の良さと美しさを兼ね備えた「ROCKS」は、ワインやウイスキーをはじめ、日本酒、ビール、ジュースなど、あらゆるドリンクにマッチします。使い方は実に簡単。①冷蔵庫でストーンを冷やす、②軽く水洗いしてドリンクに入れる、③使用後は洗って冷蔵庫で保管。たったこれだけで、いつでもどこでも、溶けない氷によるキンキンドリンクが楽しめるのです。冷やした日本酒でまろやかな味わいを特に日本酒との相性は抜群。温度を下げることで香りが引き立ち、スッキリとした飲み口に。冷酒との組み合わせなら、料理の味わいを最大限に引き出してくれること間違いなしです。仕事終わりの一杯も、アウトドアで楽しむ乾杯も。大切な人への贈り物にもぴったりな「ROCKS」で、特別な時間をもっと素敵に演出してみませんか?溶けない氷の魔法を、ぜひその手で体験してください。商品名:R.O.C.K.S. 溶けない氷 魔法の天然石ROCKS 天然石アイスキューブ価格:16,760円 ~ 21,000円 (税込)商品の詳細はこちら

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  • TOKYO BAR STORY【銀座編】

    TOKYOには星の数ほどBARがあり、客にサーブするバーテンダーがいる。そして、そこにはやはり星の数ほどの語り尽くせない素敵な物語があるのだ。1.ジャパニーズバーテンディングの技術を世界に知らしめる名門銀座1丁目 【 STAR BAR GINZA 】重厚感あふれる店内はマスターの岸氏がヨーロッパのパブをイメージして部材を見つけてきた。装飾を施した天井がゴージャスな雰囲気に。テーブル席も落ち着いた印象だ。日本のバーテンディングのレベルの高さを世界に知らしめるバーである。接客の洗練さ、軒数、客質。その何を取っても〝日本一のバーの街〟といわれる銀座においても、名バーとしての要素を何ひとつ欠くことがない一軒だろう。オーナーバーテンダーの岸久氏が築いてきた功績が、その理由を物語っている。平成8年(1996)には国際バーテンダー協会(IBA)が催す世界カクテルコンクールにおいて、日本人で初めて優勝。平成20年(2008)には厚生労働大臣によって卓越した技術者のみが表彰される「現代の名工」を、バーテンダ―として初めて受賞。長い間日本バーテンダー協会(NBA)の会長を務め、平成26年(2014)には、各功績を認められ黄綬褒章を受章した。カウンターの正面、バックバーの真ん中に目をやれば、岸氏が、アイラ島の親善大使「アンバサダー・オブ・アイラ」であることを表した額装が飾られている。国内のみならず、海外からこのバーを目指してくる客も多い。彼らがまず一様に驚愕するのが、あまりにも透明すぎる「氷」だ。カウンター内には温度を微妙に変えた3台の冷凍庫を揃え、氷屋から仕入れた純氷の貫目氷を、緩める、締めるを繰り返し、まさに一点の曇もない透き通った氷に仕上げる。店長の吉田達也氏が「仕入れてから3日目でやっとお客様のグラスに届きます」と、さらりと言うその氷は、カクテルを提供する直前によく研がれた包丁で形を整えられピタリとグラスに収められる。液体を注ぐとその透明さゆえに、まるで何も入っていないかのようにフォルムは消え失せ、カクテルを飲んで液体が減っていくにつれ、再び姿を現す。それは〝ニンジャ・アイス〟と呼ばれ、今や海外のバーラヴァーにも知られることとなっている。これだけでも、このバーの良さがわかるというもの。現在、「スタア・バー」は全4店舗を構える。銀座タイズ、京都、東京ミッドタウン日比谷。その中でも本店である銀座は〝芯〟の部分を担うべく、岸氏の教えがひときわ純粋に行き届いているといえよう。入社8年目になるという吉田氏に、マスターからの教えの中で、特に心がけていることを尋ねてみた。「実は、カクテルの技術より何より、一番大事なのは〝差配する〟ことが真髄だと感じています」差配する。それは、迎え入れた客のもてなしであると同時に、バーという限られた空間の空気を守るべく制御の要素も求められるという。例えば、と過去のエピソードを吉田氏が教えてくれた。多くのバーでそうであるように、スタア・バーでは隣客に話しかけることは歓迎されない。ある男女のカップルが来店した時、女性の方が隣席の外国人客と盛り上がってしまい、エスコートしてきた男性が取り残されてしまう状況。当時の先輩バーテンダーが女性客をたしなめるも、状況はむしろエスカレートする一方。やむを得ず、先輩バーテンダーが女性客にかけたのは、「今日はそろそろお引き取りください」という言葉だった。女性客は大層立腹し、バーテンダーに、なんとコップの水をかけて席を後にした。だが、この時、岸氏が弟子にかけた言葉は「それでいい」だった。2人で来たなら、ここでは2人のバーの時間を楽しんでほしい。スタア・バーがたとえ満席でも凛としたバー空間が保たれているのは、そんな差配のおかげであり、それがこのバーの真意というわけだ。「まだまだ経験の浅かった私は、スタア・バーであることはこんなところから気を配るべきなのか、と感じ入りました」と吉田氏は振り返る。岸氏が弟子たちに言う言葉があるというので教えてもらった。「きっちりできないなら、やらない方がまし。だから、やるならしっかりやろう」気も時間も使って、そこそこならやらない方がましだ。だから、やるなら高みを求めて完璧にやりきる。それには、いかに前もって準備をするか。いかに効率的に動くか。いかに頭を使うかということだ。ニンジャ・アイスは、スタア・バーの目指す精神性の高さを物語る、それこそ氷山の一角でしかない。ここに、カクテルごとに使う氷の冷凍庫3台を使い分けていることもさらに付記しておこう。例えばジントニック用の氷、ショートカクテルを作るためのシェイク用の氷、まだ仕入れたばかりの堅さを緩めるために寝かせている氷。でもこれも彼らにとっては日常のこと。聞かない限り、雄弁に語られることはないだろう。慎ましくも、極められし技。氷ひとつからそこに宿るバーテンダーの心意気をくみ取るのも、バーを訪れる愉しみではないだろうか。2.バーテンダー協会の理事長が創業 半世紀以上続く歴史と往年のもてなし銀座5丁目 【 JBA BAR SUZUKI 】長いカウンターを照らす照明は、創業時からのもの。古き良き時代のオーセンティックバーと聞いて浮かぶシーンに、そのまま入り込んだようである。温かみのある明かり。年季の入ったカウンターの手触り。バーテンダーの真摯なもてなし。半世紀以上紡がれてきた歴史がこの空間にある。昭和42年(1967)創業。開いたのはJBAの理事長を務めていたバーテンダー、鈴木昇氏だ。JBAとは、日本最大のバーテンダーの協会である日本バーテンダー協会(NBA)の礎となった団体のこと。「お酒の先生のような存在でした」。鈴木氏のことをそう振り返るのは、現オーナーの吉田奉敬氏である。吉田氏はかつて客として通っていたひとり。昭和46年(1971)の洋酒の輸入自由化解禁の折、自身も輸入を手がけるようになり、右も左もわからない洋酒の手ほどきをしてくれたのが鈴木氏だった。「穏やかで知的で、本を書くのが好きでね。一般者向けのカクテル教室の先生もやっていましたよ」。そんな人柄を慕って、このバーには、多くのインポーターが客として集った。鈴木氏は、彼らの酒を客に紹介し、時に互いの酒を試飲させ、「この酒はこう売ったらいい」なんて講義もしてくれた。だが、64歳で食道がんのために他界してしまう。常連だった吉田氏に「バーと妻を頼むよ」と言い遺した。その後、ひとりで店を切り盛りしていた妻の君子さんから「店をたたもうと思う」と聞いたのは、鈴木氏の死から2年経た頃だった。吉田氏はマスターの遺志を継ぐべく自身がオーナーとなり、バーを移転。今も守り続けている。店長を務める久野修平氏は言う。「ある時代には、バーテンダーが見習いで来るようなバーでした。ここで学んだのは、お客様の状況をくみ取る温かい接客です」。往年の雰囲気をたたえるこのバーも、今年4月には老朽した部分をリニューアルするという。とはいえ、肩肘張らずに過ごせるもてなしが、変わることはない。3.゛銀座のバー”の正統を守る 名店の矜持に満ちた一杯銀座6丁目 【 BAR 保志 】ビルの8階が店舗。正統を味わうにはこの店の扉を開けよう。バーテンダー・保志雄一氏がカクテルと出会ったのは学生時代にアルバイトをしていた宇都宮の名店「パイプのけむり」。酒といえばビールかウイスキーくらいしかなかった当時、色鮮やかなカクテルに魅了された。同時に世界のカクテルコンペティションで活躍するオーナーバーテンダー・大塚徹氏の活躍を間近で見て、〝酒で世界に挑戦できるのか〟と衝撃を受けた。以来42年間カウンターに立ち、自身も国内外のコンペティションでの受賞を重ねてきた。基本に忠実に、そして先駆的に。氏のもとでそんな〝保志イズム〟を学んだ後進たちが今、銀座のいたる所で店を構える。伝えたいのは確かなプロの技術、そして気遣いだ。「間違いのない本物を提供すること。それが銀座という街が持つ伝統です」。銀座が家なら後進の一人ひとりは家族だと、保志氏は続ける。街と酒と人を愛する氏が作るカクテルが、今夜もカウンターを彩る。※こちらは男の隠れ家2019年4月号より一部抜粋しております

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