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男の隠れ家コンテンツ

  • スパイスマスターが作る本格派マサラセット「マサラギフトセット」

    スパイスマスターによる本格派マサラセットインド料理の本場の味を気軽に楽しめるスパイス調合セットが登場しました。日本一インド料理を食べ尽くしたスパイスマスターが、日本人の口に合うようにアレンジした10種類のオリジナルマサラをギフトボックスに詰め合わせた「マサラギフトセット」です。このマサラセットがあれば、本格的なインド料理がご家庭で簡単に味わえます。カレーやラッシー、チャイはもちろん、炊き込みご飯やチャーハンまで、手軽に作れるスパイスがそろっています。味に深みと香りを与えてくれるスパイスの魅力を、ぜひこの機会に体験してみてください。カレー、ラッシー、チャイ、炊き込みご飯...インド料理の定番メニューが勢ぞろいセットには、バターチキンカレーが5分で作れる「カレーの素」、牛乳に混ぜるだけでラッシーやチャイが楽しめる「ラッシーの素」「チャイの素」、炊飯器でパラッとおいしいビリヤニや屋台風チャーハンが作れる「ビリヤニの素」「チャーハンの素」など、10種類ものスパイスミックスが入っています。また、スパイスを加えるだけで一気にエスニック風味になる「塩マサラ」や「辛マサラ」など、様々な料理のアクセントにもぴったりのスパイスも充実。これ一つで、毎日の食卓がグッとバラエティ豊かになること間違いなしです。手軽なのに本格派。奥深いスパイスの魅力を堪能インド料理って、スパイスが多すぎて自分で作るのは大変そう...と敬遠していた方も多いのではないでしょうか。確かにスパイスの種類が多いのは事実ですが、「マサラギフトセット」なら初心者でも失敗なく使いこなせるはず。各スパイスには、どんな料理に合うのか、どのように使えばいいのかがしっかりと記載されているので、説明書を読みながら気軽にチャレンジできます。慣れてくれば、アレンジを加えてオリジナルのスパイス料理を生み出すのも楽しいですよ。スパイス料理の魅力といえば、なんといってもその奥深い味わい。一口食べれば、様々なスパイスが織りなす深みのあるハーモニーに驚かされるはずです。「マサラギフトセット」で、そんなスパイス料理の楽しさと奥深さを、ぜひ体感してみてください。おうち時間をちょっと贅沢に。自分へのご褒美やギフトにもおすすめ自宅で過ごす時間が増えた昨今、おうちごはんの楽しみ方を広げてくれるのもスパイス料理の魅力。いつものメニューにほんの少し加えるだけで、いつもとは一味違う特別感のある一皿に変身します。「マサラギフトセット」は、自分へのご褒美として取り入れるのもおすすめですが、スパイス好きな方へのギフトとしてもきっと喜ばれるはず。インドの代表的なデザインが施された、美しいパッケージも魅力的。大切な人への贈り物として選んでみてはいかがでしょうか。商品名:マサラギフトセット価格:4,600円(税込・送料込)商品の詳細はこちら

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  • 本のある空間。【Book Cafe】

    珈琲を味わいページをめくる静かなひと時ーー慌ただしい日常から離れて、コーヒーを片手に好きな本を読みながらゆっくりと過ごす。そんな贅沢な時間の使い方を叶えてくれるブックカフェ。読書にぴったりなお店をご紹介します。fuzkue[東京・初台]約束された心地良さをいつでも味わうことができる店内部はほとんどが手作り。手前の本棚が使いこなしたように見える塗装を施したもの。左のソファも同様。しばし世間の喧噪から隔絶させられる空間初台の駅前にある雑居ビル。喧噪に包まれた通りから2階にある「fuzkue」の扉を開くと、そこにはコーヒーの香りと、心地の良い静けさに支配された空間が待っていた。コンクリート打ちっぱなしの壁に、ダークな色調の木製家具が絶妙なマッチングを見せるインテリア。その多くが店主の阿久津隆さんによる手作りというから驚きだ。特に小ぶりの書棚は、わざわざ使い込んだように見える塗装を施し、調和を持たせている。ここは「外でゆっくりと読書を楽しみたい」という人に、最高の環境を提供するために設計・運営された店なのだ。そのために阿久津さんが欠かせない要素と考えたのが「穏やかな静けさが約束されていること」と「心置きなくゆっくりと過ごせること」である。静けさを保つため、この店では連れ同士の会話もご遠慮願っている。ほかにもいくつかのルールを定め、いつでも〝約束された〟心地良さが味わえる空間づくりに心を砕いているのだ。入店したらまず「ご案内とメニュー」に目を通す。最初はルールが気になっても、ほとんどの人が1時間半以上、平均で2時間半も滞在するという。それこそ居心地の良い空間が守られている証しである。約1000冊の蔵書は、基本的に阿久津さんが読んだもの。特に海外文学が多いという。ここはあくまでも「本が読める店」であり、「本を読まなくてはいけない店」ではない。従って好みの本がなければ持参の本を読んでもいいし、考え事をしていてもいい。しばし自分を世間から隔絶させる、そんなことができる場所でもあるのだ。そして至福の時間をサポートしてくれる旨いコーヒーやお酒、カレーなどの食べ物が充実しているのも嬉しい。ドリンクやフードをオーダーすることで、席料が少なくなるシステムを採用。ちょっと複雑なので、お店で確認しよう。ESPACE BIBLIO[東京・御茶ノ水]都会にいることを忘れさせる不思議な空間と希少な本を提供してくれるコーヒーはオールドビーンズの深煎りを使用。イベントスペースもある。インテリアのように並ぶグラフィック関連の美しい本「御茶ノ水駅」からとちの木通りを水道橋方面に向かうと、「ESPACE BIBLIO」の看板が見える。地下へと続く階段を降り、店内に入ると両側の壁に備えられた本棚に、自然と目がいく。そこには横文字が並ぶ洋書が、ビッシリと収められているのだ。座席の間にも本棚があり、日本の著名な写真家の希少な写真集などが置かれている。オーナーの齋藤芳弘さんは「私のデザイン事務所で集めた約6000冊の蔵書を、閲覧してもらうために開設しました。海外アートだけでなく歌舞伎や浮世絵などの日本文化、70~80年代のファッション雑誌、建築本や映画本など、希少な初版や絶版がたくさんありますよ」と語る。ブックカフェながらランチメニューも充実し、談笑に興じるお客の姿も多い。地下なのにテラス席が用意されているのも特筆ものだ。アール座読書館[東京・高円寺]私語厳禁の緑あふれる店内で自分だけの特別な時間を過ごす外からの自然光を取り入れ、優しい光が差し込む。店内には2人がけの席を9つ用意。それぞれのテーブルで異なる趣が楽しめる。世界に来たかのような特別な空間で読書に耽るJR「高円寺駅」から徒歩5分ほどの場所にあるブックカフェは、ひっそりと建つビルの中にある。2階へと続く階段を上がり扉を開けると、どこからか虫の鳴き声が聞こえてくる。「うちは『森の中で読書』をコンセプトにしていて、今は鈴虫を店内で飼っています」と話す店主の渡辺太紀さん。店内の至る所に配された植物やアクアリウムを見るとなるほどと頷ける。蔵書は1000冊以上にも及ぶといい、そのどれもが渡辺さんのセレクト。「ここで気軽に本を読んでもらえるよう、画集や写真集などパッと開いて読めるものが多いんです」と話す。また店では〝私語厳禁〟がルールとなっているが、堅苦しさは一切感じない。ジャズやヒーリングのメロディが店内に一定のリズムを生み、自然の中で読書をしているかのような心地良い空間が生み出されている。BOOKS BUNNY[東京・原宿]並べられた本や食事のメニューからニューヨークの薫りが漂ってくる人気のランチメニュー「チキンオーバーライス」はドリンク付き。洋書に囲まれて食べる味は格別。蔵書は約1000冊。毎年2回、ニューヨークに買い付けに行く。少し怪しい洋書に囲まれ至福のコーヒーブレイクを原宿というより、ニューヨークやロサンゼルスのような雰囲気漂う路地の一角にブックショップ&ブックカフ ェ「BOOKS BUNNY」はある。赤いバニーの看板に誘われて店内に足を踏み入れると、店主の伊藤沙帆さんがニューヨークから買い付けてきた洋書が所狭しと並ぶ。その多くは60~70年代の先鋭的なアートやファッション、頽廃的な薫りに包まれたロック関連本という、かなり〝尖った〟ものばかりだ。「絵を描いているので、参考になるデザインの本をセレクトしているうちに、ほかでは見られない毒っ気のある本に惹かれてしまって」若い女性にはなかなか勇気のいる本もある。カフェメニューだけでなく、伊藤さんが作るニューヨーク風の食事やお酒をいただきながら、ちょっと危ない本に目を通すのも粋である。※こちらは男の隠れ家2018年12月号より一部抜粋しておりますRecommend Contents鮮烈なカラーと浮世絵の繊細さの融合【ルパン三世浮世絵】アニメ「ルパン三世」の50周年記念として生まれたこの作品は、現代と伝統が見事に交錯する一方で、ルパン三世というキャラクターの魅力を最大限に引き立てています。――続きはこちらからアズスプレッド消臭剤日本のバイオテクノロジーから生まれた天然酵素消臭スプレー。アズスプレッドシリーズは信州大学を中心とした産学官のプロジェクトで研究開発した植物由来の酵素群を原料にしています。――商品詳細はこちら

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  • たまにはいいよね?昼呑みのススメ。

    スーツ姿のサラリーマンが足早に過ぎ去っていく。酎ハイ片手に店の外を見ると、太陽はまだまだ元気な昼のひと時。ひと口呑む度に胃に流し込まれ、消化されていく若干の罪悪感。同時に悦楽の時間を噛みしめる。たつや 駅前店[東京・恵比寿]ホッピーファンの聖地と呼ばれる老舗店内の佇まいには老舗らしい風格がにじみ出ている。年季の入ったカウンターの一角に陣取り、やきとりの美味しそうな匂いを嗅ぎながら、名物の黒ホッピーをグイッ。隣の客と会話が弾んでいるうちに、時が過ぎていく。JR恵比寿駅の西口からすぐ近く。お洒落な街・恵比寿にあって、長く愛され続けてきた大衆酒場「たつや」。昼の時間帯に木枠のガラス扉を開けると、店内はすでにほぼ満席。中央のコの字型カウンターの周りで、客が楽しそうに呑んでいる。昭和51年(1976)、創業者の佐藤正光さんが43歳の時に、ボウリング場の支配人を辞め、退職金で開業した。当初から消防、鉄道、タクシーなど夜勤明けの人たちのために朝8時から営業。平日は翌朝4時まで。朝呑み、昼吞みができる店として、恵比寿界隈では古くから知られていた。佐藤さんは現在88歳。会長として週に3回は顔を出して、常連客と一杯やっているという。実はこの店は知る人ぞ知る、黒ホッピー発祥の店だ。「最初はホッピーにギネスビールを入れて、黒ホッピーとしてお出ししていました。〝美味しい〟とお客さんにも好評で、ばんばん注文をもらっていた。そうしたら、ホッピーを製造しているホッピービバレッジさんが、黒ホッピーを商品化してくれたんです」ギネスを使うと値段が高くなるが、黒ホッピーなら安くてヘルシー。現在でも黒ホッピーを頼む客が圧倒的に多い。20本入りのホッピーケースが、一日になんと34箱も消費されるという。「ホッピーの消費量は都内で一番じゃないかな」と佐藤さん。つまみは種類豊富な「やきとり」、創業以来変わらない味の「煮込み豆腐」など。40年以上通っている常連客の大橋さんは、「近くに勤めていた時は、毎日通っていた。リタイアしてからも週2回は来ているね。ここはお客さんがみんな良い人ばかり。その中心にいるのが会長さん。人柄が良いので万人に好かれる。常連客のみんなで釣りやゴルフ、カラオケなどを楽しんでいます」老舗に通うお客さんは皆、品格のある呑み方を心得ている。たとえ黒ホッピーで酔っていても、声を荒げることなく、陽気に呑む。だからその場にいれば思わず笑みがこぼれるし、酒やつまみもまた格別に旨い。常連さんの人柄、それもまた店の魅力のひとつなのだ。なんどき屋[東京・新橋]素材の味を生かした家庭料理右/店の入口は目立つ黄色の看板や電光掲示板があり、一見派手な印象を受けるが、店内は清潔感漂う落ち着いた雰囲気。左上/静かに語らう常連客。左下/男性グループは呑み疲れで一休み。たらこをバーナーで炙るご主人・服部さんは二代目店主。新橋駅前、西口通りといえば、夜ともなると、呑み屋に繰り出す仕事終わりのサラリーマンたちで賑わう通りだ。昼間は閑散としているが、縄暖簾と黄色い提灯が目印の、この店だけは別格だ。「なんどき屋」という店名の通り、24時間営業で、〝いつ、なんどき〟行っても開いている。元々は新橋に数店舗あった牛めし店のひとつ。昭和46年(1971)に独立して、居酒屋へと衣替えをした。今でも牛めしだけでなく、「家庭料理が基本」の単品料理にプラス300円で定食を食べられる。24時間営業なので、朝呑み、昼吞みができる店として人気が高いのは言うまでもない。「一日のうちで混んでいる時間帯は、強いて挙げるなら明け方ですね。早朝4時から7時頃まで。近くで働く同業者などが仕事帰りに寄っていきます」と主人の服部逸郎さん。「昼吞みのお客さんは、明るいうちからすいません、お騒がせします、と申し訳なさそうに言うんです。罪悪感があるんでしょうかねえ。店からすると、昼から呑んでくれてありがとう、ですよ」ガスバーナーでたらこを炙る服部さんは、こう続ける。このたらこは800円。高くても旨いねとお客さんに言ってもらいたい。うちは素材にこだわっているので、単価は決して安くない。でも、料理の味に納得して来てくれるお客さんが多いです」例えば、「牛めし」や「肉豆腐」には服部さんが厳選した和牛を使う。上質な食材を使いたいというその姿勢が、この店が長く人々に愛され続けている秘訣といえる。こだわりは酒にもある。炭酸は瓶ではなく、炭酸が強い業務用を使用。多くの人が注文する名物「Dハイ」を飲んでいた客は、「ダブルのハイボールなので、シングル2杯よりもお得。ここのハイボールは炭酸が強いので、シュワシュワ感が違うんだ」。リピーターが多く、7・8割が常連客というのも納得である。〝家庭で食べるような料理を〟という服部さんの温かな思いと手料理が、今日も都会で働く人々の空腹を優しく満たしてゆく。岐阜屋[東京都・新宿]思い出横丁のある町の中華屋カウンター席で思い思いに昼間酒を楽しむ客たち。店は入口が2つあり、コの字型のカウンターがそれぞれにある。こちらは線路通りに面した店内で、一人で静かに呑むには最適な場所。反対側はオープンな造りで、グループ客でも楽しめる。新宿・思い出横丁は狭い路地に呑み屋がひしめき合う、人気の呑み屋街だ。横丁で唯一の中華屋として昭和21年(1946)に創業。専務の堤康一さんによれば、創業者は岐阜出身で満州から引き揚げてこの地で中華屋を開業したという。昭和43年(1968)に堤さんのお父さんが引き継ぎ、現社長が四代目となる。「元々は満州の味だったが、二代目は横浜中華街、四代目は高級中華料理の店で修業しているので、今では日本人好みの、昔ながらの味になっています」と堤さん。最近流行の町中華での昼吞みは、この店では昔から当たり前だったそうだ。10年来の常連客は「勤務時間が不規則で、仕事帰りに朝、昼呑める店はありがたい」と顔をほころばせる。「これからも安らげる場所を提供し続けていきたい」と堤さん。活気と優しさに包まれた温かい町の中華屋に今日も人々が集う。クラフトビアバル IBREW 新橋駅前店[東京・新橋]30種類以上のクラフトビールが呑める通りすがりにフラッと入れそうな、カジュアルで親しみやすいクラフトビール酒場。昼の時間帯はのんびりしているが、夜になると満席になり、立ち呑みで楽しんでいる客も多い。クラフトビールは一律料金でハーフ390円、パイント690円。橋駅前ビルの1階にある、クラフトビール酒場「IBREW」。カウンター奥の壁には、30種類の生樽サーバーのタップがずらりと並ぶ。クラフトビールは国産に限定。30種類をラガー、エール、フレーバー、WHEAT(小麦)、IPA(インディア・ペールエール)、ブラックの6タイプに分類、メニューにも表示しているのでビール選びがしやすい。店長の赤羽根優衣さんは言う。「クラフトビールはいろいろなタイプがあるので、ビールが苦手な人でも自分の好みに合うビールを見つけられます」人気のつまみは、「自家製おばんざい」と「もつ煮」。「和食系のつまみが意外にクラフトビールに合うんだよね」と昼吞みの男性が言う。お勧めは、平日の19時まで限定の「ちょい呑みセット」。クラフトビール3種とおばんざいで1000円(税込)、これを目当てに訪れる客も多いようだ。※こちらは男の隠れ家2019年12月号より一部抜粋しておりますRecommend Contents自宅で本格的な炉端焼きを楽しもう【伊賀焼 あぶり名人】伊賀焼の美学と工芸の粋を結集伊賀焼 「あぶり名人」は、伊賀焼の美学と工芸の粋を結集した、本格的なあぶり焼きが楽しめる逸品です。素朴でありながらも高度な技術が込められています。「あぶり名人」の特徴は何と言っても、そのメカニズム。――続きはこちらからROGENオイルリッチローション乾燥/テカリに秒速1本ビジネス専用オールインワン化粧水日本初、印象のプロが監修したオールインワン化粧水。男性肌特有の肌悩みに着目し、男性肌の特徴にこだわった無添加オールインワン化粧水。1本で、化粧水、美容液、乳液、アフターシェーブローションまでの機能性を実現。――商品詳細はこちら

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  • 京都の路地裏ひるごはん。Vol.2

    京都の雰囲気や味を堪能したいけれど夜の名店はなかなか暖簾をくぐれない。それならお昼ご飯時に訪ねてみよう。気軽に敷居をまたぐことができ、京都の味も佇まいも十分堪能できる。昼に京料理が愉しめる路地裏の名店をご紹介。屋形船を模したお座敷で愉しむ三百年の歴史を誇る「古都の味」いもぼう 平野家本店〈東山〉「いもぼう御膳」(2500円)はメインのいもぼうのほか、付出し、祇園どうふ、お吸い物、ご飯、香の物という組み合わせ。付出しはひと口胡麻豆腐であった。お昼ご飯では祇園豆腐の代わりにとろろのり巻きが付いている「月御膳」(2700円)や、両方とも付いている「雪御膳」(3000円)なども人気である。山と海の幸が鍋で出合い奇跡の旨味を醸し出した逸品八坂神社を抜け、円山公園や知恩院へと続く石畳の小径をたどると、知恩院南門手前に「いもぼう平野家本店」の看板が見えてくる。落ち着いた雰囲気の竹穂垣に囲まれた門を潜ると、左手に入り口がある。中に入ると左右に障子が続き、通路や部屋が途中で湾曲しているという、不思議な光景が目に飛び込んでくる。「いもぼう」という料理の歴史は遥か昔、徳川吉宗が将軍だった享保の頃(1716~36)まで遡る。粟田の青蓮院に仕えていた平野権太夫は、御用のかたわら御料菊園、蔬菜の栽培に携わっていた。ある年、青蓮院の宮が九州行脚の折に唐の芋を持ち帰ってきた。これを円山山麓に植えると、姿が海老に似た良質な芋が育ったので、海老芋と名付けた。「今のように流通が発達していない時代、海から離れた京では海産物は珍重されていました。もちろん生魚などではなく、カチカチに乾いた乾物の魚でした。だから御所にも献上されていた棒鱈を、柔らかく戻す工夫があれこれとなされていたのです。そこで権太夫は円山で育った海老芋と抱き合わせて炊き上げる、独特の調理法を編み出しました」と、その成り立ちを語ってくれた若女将の北村佳苗さん。すると海老芋が棒鱈を柔らかくし、棒鱈が海老芋の煮崩れを防いでくれた。両者はまさに奇跡のような相性の良さを見せたのだ。以来「いもぼう」は、山のものと海のものが出合い、一緒の鍋で美味しく炊き上がった、お目出たい縁結びの料理とされた。そのため誕生以来ずっと、ハレの日のご馳走として人気を博している。「ところで、通路や部屋が曲がっているのは?」と尋ねると「屋形船を模した形なのです」という答えが返ってきた。部屋から見える景色を、舟遊びに置き換えてしまうあたり、いかにも都人の粋を感じさせる。粋な部屋でいただいたのは、店自慢のお昼ご飯「いもぼう御膳」。女性の拳ほどもある大きな海老芋がごろりと入った「いもぼう」は、やはり存在感抜群。横にはしっかり鱈もいる。海老芋は中までしっかり鱈の味が染み込んでおり、口に含むとしっとりとした旨味が広がる。見た目のインパクトとは裏腹に、間違いなく繊細な京料理そのものだ。さいの目に刻まれた豆腐があんとよく絡み、五感をほっこりさせる「祇園どうふ」や、湯葉や卵焼きの入ったお吸い物なども、膳を華やかにしてくれる名脇役である。いもぼう ひらのけほんてん京都市東山区円山公園内知恩院南門前黄金の出汁が奏でる見事な味名店で愉しむ和食の真髄直心房 さいき〈祇園〉右2点/「強肴(しいざかな)」は長芋、ズッキーニ、たらの芽、それにネギ味噌と辛子と共に牛肉の味噌漬けが盛られていた。奥は山芋そうめんに鯛の白子、いわ茸などを盛り合わせた、口当たりが爽やかな一品。左2点/すっぽん鍋は耐熱性に優れ余熱でおこげができる。ご飯の旨さを再認識させられる。食材の特性を見極めて一番美味しい状態で提供昭和7年(1932)に創業した料亭「さいき家」の三代目、才木充さんは「実は料理人にはなりたくなかった」と語る。子供の頃は店と自宅が同じ場所にあったから、父は仕事着のまま家に帰ってきた。それを支える母の苦労を見ているうちに、そんな思いに捉とらわれたのだという。しかし全寮制の高校に進学した頃、考えに変化が生じる。三代目としての道を歩む決意を固め、他の店で修業することを申し出ると、父親からは大学進学を勧められた。大学時代は様々な飲食店でアルバイトをしたおかげで、色々な人と接し、お客様に喜んでもらうにはどうするのか、という姿勢を身に付けた。大学卒業後は関西一円の和食、割烹、ホテルなどで経験を重ねた。なかでも日本料理の第一線で活躍していた村上一氏の下で修業できたのは、何よりの糧になったという。そして29歳の時、実家に戻っている。だが大箱料亭だった「さいき家」は、冠婚葬祭や催事の仕出しなどがメインだった。そのスタイルに違和感を覚えていたタイミングで、建物の老朽化などもあり、店をリニューアルすることになった。そこで平成21年(2009)、店を東山の高台寺にほど近い、静かな小径の奥に移転し、店名も「直心房さいき」とした。平成23年(2011)からは7年連続でミシュラン一つ星を獲得。「全ての食材にこだわるのはもちろん、それぞれの食材が持つ旨味を最大限に引き出すように、下ごしらえや温度などに気を配り料理を仕上げす。なかでも日本料理の骨格である出汁にはこだわっています」利尻昆布と鮪節を贅沢に使用し、毎朝5時から4時間も火にかけ仕上げている。黄金色に輝く美しい出汁は、そのまま飲めば濃密な旨味が口いっぱいに広がる。それでいて濁りは一切感じない極上のものだ。魚は本来の美味しさを味わえるように、和紙で包み軽く塩をする「紙塩」を施す。それにより魚の生臭さが消える。お造りは一番美味しい瞬間を逃さず提供してくれるのだ。野菜は種類ごとに違う契約農家から直接仕入れている。自ら畑に出向いて状態を目で確かめ、その日使う分量だけを分けてもらうので、鮮度は抜群で味も濃い。もう一品、必ず供されるのは牛肉の味噌漬けだ。これはほのかな八丁味噌の香りが、牛肉の甘みをより増してくれる逸品。そしてお昼ご飯でも必ず出される人気メニューが、島根県の棚田で栽培された「仁多米」である。それをすっぽん鍋用の土鍋を使って、ひとつずつ炊き上げている。才木さんが「ご飯だけ食べたいとおっしゃる常連さんも多いです」と話してくれた通り、炊きたてのご飯は甘みが強く、おかずなどは一切不要といっても過言ではない。季節によって、様々な具材を使った炊き込みご飯も提供してくれる。火を止めしばらく置いておくと、鍋の余熱でおこげができ、それがまた最高に美味なのである。じきしんぼう さいき京都市東山区八坂鳥居前下ル上弁天町443-1東山の喧騒とは無縁の静かな空間で茶粥を食す高台寺 松葉亭〈東山〉右/料理の説明をしてくれた女将の畦地真澄さん。店は家族だけで切り盛りしており、おもてなしの心を旅館時代から引き継いでいる。左上/湯豆腐やだし巻き、自家製のつくだ煮などが付く茶粥セット(2000円)。左下/発芽玄米の番茶で炊いた香り豊かな茶粥。香ばしさが口中に広がる。さらりとした口当たりと番茶の香りが引き立つ茶粥青葉が累々と連なる東山の山稜。その山麓には清水寺、高台寺、知恩院をはじめ名だたる古刹が南北に数多く点在し、京都きっての観光エリアとして国内外に広く知られている。「松葉亭」は店名にも冠してあるように、その「高台寺」の近くに暖簾を掲げる料理処である。高台寺は豊臣秀吉の正室・北政所ねね様が、秀吉の冥福を祈るために建立した寺院で、寺の前の散策路は“ねねの道”と呼ばれて親しまれている。近年は産寧坂、二寧坂から続くこの界隈は“喧騒”とも例えたくなるほどの賑わいを見せているが、「松葉亭」はその人波から少し離れた路地に町家の情緒をたたえて静かに佇んでいる。格子戸の入り口から暖簾をくぐり、細長い通路を抜けて中庭へ。明るく開けたそこには苔の色も鮮やかな京都らしい小さな坪庭が設えられ、客はそのまま玄関へと導かれる。「おこしやす」のはんなりとした出迎えと共に通されるのは、床の間のある数寄屋造りの落ち着いた座敷。店というより町家のお宅にお邪魔したような空間に心が和む。「創業は大正元年(1912)ですが、昭和30年(1955)には旅館業も始め、8年前までは“片泊まり”の宿としても営業しておりました。夜は懐石料理、お昼は茶粥や湯豆腐、ひょうたん弁当などをご提供しています」と話す女将の畦地真澄さん。ランチの後の喫茶タイムには、あんみつやぜんざいなどの甘味も愉しめる。わずか10席のみだが、客一人ひとりに目が行き届き、おもてなしするにはちょうどいい規模の席数だという。お昼にいただけるこの店の名物はなんといっても茶粥セット。番茶で炊いた茶粥、だし巻き、湯豆腐、生湯葉の田楽味噌、そして自家製のちりめん山椒、湯葉のつくだに、しいたけ昆布などが添えられる優しい味わいだ。番茶は発芽玄米の宇治茶を使用。生米からことこと炊き上げた茶粥は、香ばしい風味と、胃に染み入るさらりとした口当たり。さらに山椒の利いたちりめんを載せると、また違う味わいを愉しめる。実に美味だ。また、湯豆腐は三条白川にある山崎豆腐店の豆腐を使っている。「毎朝、お豆腐屋さんまで歩いて買いに行ってます。運動にもなるし、私の日課なんでよ」と笑顔を見せる畦地さん。こちらも豆の味が濃い滑らかな豆腐が舌を愉しませてくれる。一方で、予約制(2名以上)の夜のコース料理は本格的な懐石料理。八寸から始まり、お造りや焼き物などが彩りよく供されるが、茶粥をしみじみ味わううち、次はぜひこちらも味わってみたいと思わせてくれた。奈良や京都宇治の朝ご飯としても知られる茶粥だが、京都で本格的に茶粥が食べられる店はそう多くはない。隠れ家的な雰囲気といい、茶粥といい、ちょっと秘密にしておきたくなる、でも、人に教えたくなるそんな貴重な一軒である。こうだいじ まつばてい京都市東山区金園町407※こちらは男の隠れ家2019年6月号より一部抜粋しております

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  • TOKYO BAR STORY【銀座編】

    TOKYOには星の数ほどBARがあり、客にサーブするバーテンダーがいる。そして、そこにはやはり星の数ほどの語り尽くせない素敵な物語があるのだ。1.ジャパニーズバーテンディングの技術を世界に知らしめる名門銀座1丁目 【 STAR BAR GINZA 】重厚感あふれる店内はマスターの岸氏がヨーロッパのパブをイメージして部材を見つけてきた。装飾を施した天井がゴージャスな雰囲気に。テーブル席も落ち着いた印象だ。日本のバーテンディングのレベルの高さを世界に知らしめるバーである。接客の洗練さ、軒数、客質。その何を取っても〝日本一のバーの街〟といわれる銀座においても、名バーとしての要素を何ひとつ欠くことがない一軒だろう。オーナーバーテンダーの岸久氏が築いてきた功績が、その理由を物語っている。平成8年(1996)には国際バーテンダー協会(IBA)が催す世界カクテルコンクールにおいて、日本人で初めて優勝。平成20年(2008)には厚生労働大臣によって卓越した技術者のみが表彰される「現代の名工」を、バーテンダ―として初めて受賞。長い間日本バーテンダー協会(NBA)の会長を務め、平成26年(2014)には、各功績を認められ黄綬褒章を受章した。カウンターの正面、バックバーの真ん中に目をやれば、岸氏が、アイラ島の親善大使「アンバサダー・オブ・アイラ」であることを表した額装が飾られている。国内のみならず、海外からこのバーを目指してくる客も多い。彼らがまず一様に驚愕するのが、あまりにも透明すぎる「氷」だ。カウンター内には温度を微妙に変えた3台の冷凍庫を揃え、氷屋から仕入れた純氷の貫目氷を、緩める、締めるを繰り返し、まさに一点の曇もない透き通った氷に仕上げる。店長の吉田達也氏が「仕入れてから3日目でやっとお客様のグラスに届きます」と、さらりと言うその氷は、カクテルを提供する直前によく研がれた包丁で形を整えられピタリとグラスに収められる。液体を注ぐとその透明さゆえに、まるで何も入っていないかのようにフォルムは消え失せ、カクテルを飲んで液体が減っていくにつれ、再び姿を現す。それは〝ニンジャ・アイス〟と呼ばれ、今や海外のバーラヴァーにも知られることとなっている。これだけでも、このバーの良さがわかるというもの。現在、「スタア・バー」は全4店舗を構える。銀座タイズ、京都、東京ミッドタウン日比谷。その中でも本店である銀座は〝芯〟の部分を担うべく、岸氏の教えがひときわ純粋に行き届いているといえよう。入社8年目になるという吉田氏に、マスターからの教えの中で、特に心がけていることを尋ねてみた。「実は、カクテルの技術より何より、一番大事なのは〝差配する〟ことが真髄だと感じています」差配する。それは、迎え入れた客のもてなしであると同時に、バーという限られた空間の空気を守るべく制御の要素も求められるという。例えば、と過去のエピソードを吉田氏が教えてくれた。多くのバーでそうであるように、スタア・バーでは隣客に話しかけることは歓迎されない。ある男女のカップルが来店した時、女性の方が隣席の外国人客と盛り上がってしまい、エスコートしてきた男性が取り残されてしまう状況。当時の先輩バーテンダーが女性客をたしなめるも、状況はむしろエスカレートする一方。やむを得ず、先輩バーテンダーが女性客にかけたのは、「今日はそろそろお引き取りください」という言葉だった。女性客は大層立腹し、バーテンダーに、なんとコップの水をかけて席を後にした。だが、この時、岸氏が弟子にかけた言葉は「それでいい」だった。2人で来たなら、ここでは2人のバーの時間を楽しんでほしい。スタア・バーがたとえ満席でも凛としたバー空間が保たれているのは、そんな差配のおかげであり、それがこのバーの真意というわけだ。「まだまだ経験の浅かった私は、スタア・バーであることはこんなところから気を配るべきなのか、と感じ入りました」と吉田氏は振り返る。岸氏が弟子たちに言う言葉があるというので教えてもらった。「きっちりできないなら、やらない方がまし。だから、やるならしっかりやろう」気も時間も使って、そこそこならやらない方がましだ。だから、やるなら高みを求めて完璧にやりきる。それには、いかに前もって準備をするか。いかに効率的に動くか。いかに頭を使うかということだ。ニンジャ・アイスは、スタア・バーの目指す精神性の高さを物語る、それこそ氷山の一角でしかない。ここに、カクテルごとに使う氷の冷凍庫3台を使い分けていることもさらに付記しておこう。例えばジントニック用の氷、ショートカクテルを作るためのシェイク用の氷、まだ仕入れたばかりの堅さを緩めるために寝かせている氷。でもこれも彼らにとっては日常のこと。聞かない限り、雄弁に語られることはないだろう。慎ましくも、極められし技。氷ひとつからそこに宿るバーテンダーの心意気をくみ取るのも、バーを訪れる愉しみではないだろうか。2.バーテンダー協会の理事長が創業 半世紀以上続く歴史と往年のもてなし銀座5丁目 【 JBA BAR SUZUKI 】長いカウンターを照らす照明は、創業時からのもの。古き良き時代のオーセンティックバーと聞いて浮かぶシーンに、そのまま入り込んだようである。温かみのある明かり。年季の入ったカウンターの手触り。バーテンダーの真摯なもてなし。半世紀以上紡がれてきた歴史がこの空間にある。昭和42年(1967)創業。開いたのはJBAの理事長を務めていたバーテンダー、鈴木昇氏だ。JBAとは、日本最大のバーテンダーの協会である日本バーテンダー協会(NBA)の礎となった団体のこと。「お酒の先生のような存在でした」。鈴木氏のことをそう振り返るのは、現オーナーの吉田奉敬氏である。吉田氏はかつて客として通っていたひとり。昭和46年(1971)の洋酒の輸入自由化解禁の折、自身も輸入を手がけるようになり、右も左もわからない洋酒の手ほどきをしてくれたのが鈴木氏だった。「穏やかで知的で、本を書くのが好きでね。一般者向けのカクテル教室の先生もやっていましたよ」。そんな人柄を慕って、このバーには、多くのインポーターが客として集った。鈴木氏は、彼らの酒を客に紹介し、時に互いの酒を試飲させ、「この酒はこう売ったらいい」なんて講義もしてくれた。だが、64歳で食道がんのために他界してしまう。常連だった吉田氏に「バーと妻を頼むよ」と言い遺した。その後、ひとりで店を切り盛りしていた妻の君子さんから「店をたたもうと思う」と聞いたのは、鈴木氏の死から2年経た頃だった。吉田氏はマスターの遺志を継ぐべく自身がオーナーとなり、バーを移転。今も守り続けている。店長を務める久野修平氏は言う。「ある時代には、バーテンダーが見習いで来るようなバーでした。ここで学んだのは、お客様の状況をくみ取る温かい接客です」。往年の雰囲気をたたえるこのバーも、今年4月には老朽した部分をリニューアルするという。とはいえ、肩肘張らずに過ごせるもてなしが、変わることはない。3.゛銀座のバー”の正統を守る 名店の矜持に満ちた一杯銀座6丁目 【 BAR 保志 】ビルの8階が店舗。正統を味わうにはこの店の扉を開けよう。バーテンダー・保志雄一氏がカクテルと出会ったのは学生時代にアルバイトをしていた宇都宮の名店「パイプのけむり」。酒といえばビールかウイスキーくらいしかなかった当時、色鮮やかなカクテルに魅了された。同時に世界のカクテルコンペティションで活躍するオーナーバーテンダー・大塚徹氏の活躍を間近で見て、〝酒で世界に挑戦できるのか〟と衝撃を受けた。以来42年間カウンターに立ち、自身も国内外のコンペティションでの受賞を重ねてきた。基本に忠実に、そして先駆的に。氏のもとでそんな〝保志イズム〟を学んだ後進たちが今、銀座のいたる所で店を構える。伝えたいのは確かなプロの技術、そして気遣いだ。「間違いのない本物を提供すること。それが銀座という街が持つ伝統です」。銀座が家なら後進の一人ひとりは家族だと、保志氏は続ける。街と酒と人を愛する氏が作るカクテルが、今夜もカウンターを彩る。※こちらは男の隠れ家2019年4月号より一部抜粋しております

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  • 京都の路地裏ひるごはん

    京都の雰囲気や味を堪能したいけれど夜の名店はなかなか暖簾をくぐれない。それならお昼ご飯時に訪ねてみよう。気軽に敷居をまたぐことができ、京都の味も佇まいも十分堪能できる。昼に京料理が愉しめる路地裏の名店をご紹介。蓮月茶や〈東山〉京都随一の名刹を目前に佇む創業百二十年の豆腐料理店歌人・大田垣蓮月に由来する趣深い豆腐料理の専門店知恩院と青蓮院門跡を目前にする風情たっぷりの店構え。東山の有名観光地へのアクセスも抜群の立地にある。風流な名称に惹かれ、店の暖簾をくぐる。京都を代表する料理のひとつでもある豆腐料理。新旧様々な店があり、どこへ足を運ぼうかと悩むところだが、この店の、豆腐ではなく“豆富”と書く粋な例えと、幕末の歌人・大田垣蓮月に由来する店名にまず心が動かされる。店は明治33年(1900)の創業時から知恩院と青蓮院門跡を目の前にする東山エリアの静かな場所にある。それぞれの寺域の木々と溶け込むような佇まいは情緒たっぷり。例えば春は、座敷の窓から知恩院の桜が借景となって眺められる。華やぐ景色と共に味わう豆富料理はまさに贅沢そのものだろう。店名由来の大田垣蓮月は知恩院山内華頂宮譜代の息女として育ち、歌人、陶芸家として名を馳せた人物である。豆腐が大好物で「おかべとお野菜さえあれば何も要らぬ」という言葉を残したほどだった。“おかべ”とは京言葉で豆腐のこと。白壁=おかべに例えて、そう呼ぶのだそうだ。昼の「とうふ料理コース」。梅酒の食前酒から始まり、川の流れに見立てた滝川豆富、かにみそ豆富や豆富グラタン、そして湯どうふなど、滋味に富んだ京らしいやさしい料理が並ぶ。品書きは季節で内容が少し変わるものの昼食は「とうふ料理コース」(3000円)ひとつのみ。生麩のしぐれ煮、滝川豆富、かにみそ豆富、生麩田楽、豆富グラタン、ゆば煮と高野豆富、湯どうふなど豆富づくし全10品が膳を賑わす。夜は生ゆばが増えて11品になる。「蓮月尼が好んだお豆腐を、様々な形の料理で味わっていただきたいのです」と、語る主人の黒川篤さんは店を引き継ぐ四代目。創業時は甘酒茶屋として開業した。その後、甘酒と湯豆腐を提供する店として長く歴史を刻んできたが、現在は甘酒をやめて豆富料理専門店に。店も往時の面影を残しつつリニューアルした。因みに豆腐を豆富の字にあてたのは初代の頃からで、滋味に富んだ豊かな味わいは、後者のほうが相応しいという思いからだったという。「お豆腐は白川の“山崎豆腐店”、湯葉は清水五条坂の“ゆば泉”から毎朝仕入れています。豆腐も湯葉も素材がいいからこそ料理も引き立てることができるんですね」。定番の湯どうふは木綿と絹ごしの中間の口当たり。秘伝の出汁にくぐらせて口中に運ぶと、つるんとした舌触りと大豆のふくよかな甘みが広がった。豆腐というシンプルな素材をここまで豊かな料理に仕上げる主人で料理人の黒川さん。創意工夫を凝らしたその一品一品は、どれも個性豊かで味わい深いものばかり。さて、蓮月尼がもしこれらを食したなら、どんな感動の言葉を綴るだろうか......。竹島ICHIGO〈木屋町〉厳選された旬の素材と経験豊かな技で風雅な料理に気軽に立ち寄れる店ながら京料理の真髄が味わえる左/見た目も美しい定番の「一期会席」は通年味わえる。料理に合う地酒も数多く用意されている。右上/お造りとして供されるのは鮮度を大切にした旬の魚介ばかり。右中/カウンター席は店長の包丁さばきを見ながら食事が愉しめる、ある意味、特等席だ。右下/お造りに添えられるワサビも、その場ですりおろしたものをつかう。木屋町通に面したビルの1階にある小径の一番奥に、目指す京料理の店「竹島 ICHIGO」はある。「こんな立地ですから、一見さんからはよく“入りづらい”という声を聞きます。でも来店していただければ、リーズナブルで居心地のいい店だと感じていただけるはずです」と語る店長の稲垣嘉弘さんは、ちょっと面白い経歴の持ち主。最初は寿司職人を目指して修行をスタート。その後、洋食屋やバーなどを経て、京都の料理屋で京料理の修業を始めた。10年頑張ったところで、なぜか無性に居酒屋がやりたくなり、居酒屋に転職。そこで働いている時に、この店のオーナーと知り合う。「私がいろいろな経験を経てきたからか、あまり固定観念にとらわれないのでしょう。新しい献立を考える際でも、上から指示するだけではなく、積極的に若い人の意見も取り入れる。それがスパイスとなって、より良いものができればいいと考えますから。そんな姿勢が、この店の居心地の良さなのかもしれません」元々は明治30年(1897)に旅館として創業。昭和56年(1981)に「割烹竹島」として、新たな歴史を刻み始めた。東に鴨川、西に高瀬川が流れ、夏は川床も楽しめる風雅な割烹として、多くの食通に愛されてきた店だ。そして平成26年(2014)に店内をリニューアル。完全個室になる座敷もあるが、カウンター席とテーブル席を中心に据えた、オープンな雰囲気の店となったのだ。「オーソドックスな京料理なので、今まで馴染みがなかった人でも、愉しんでいただけると思います」旬を大切にした食材は、有機栽培にこだわった国産野菜、瀬戸内海を中心に各地から運ばれてくる新鮮な魚介類。そして忘れられないのが、A4ランクの広島黒毛和牛だ。そのサーロインを使用した陶板焼きは、余分な脂身を取り除き、上質の部位だけ提供する贅沢な逸品と評判。お昼ご飯で楽しめる会席は、写真で紹介している「一期会席」(5000円)のほかに、女性にお勧めの「昼会席」(4000円)がある。前菜、お造り、焼き物、焚き合わせ、酢の物など、8品が愉しめるミニ会席だ。京料理の美味しいところを余すところなく愉しめる嬉しいコース。ただしこちらは10月から4月までの献立。通年味わうことができる「一期会席」は、京料理の美味しいところ全てを気軽に楽しめるコースだ。季節感も大切にした八寸には、食欲を呼び覚ましてくれるだし巻き玉子や酢蓮根などが並ぶ。鮮度が命のお造りは、この日は瀬戸内海のヒラメ、長崎壱岐のアオリイカ、千葉のマグロという取り合わせ。そして海のものは、ほかにホタルイカの酢味噌あえも並ぶ。見た目の美しさだけでも、その鮮度の良さが伝わってきて、口に運べば至福の時間が広がる。そのほか、蛤の糝薯や茶巾胡麻豆腐の雲丹包みなど、手の込んだ料理も並ぶ。そして自慢の和牛陶板焼きも、もちろんセットされている。和牛は口に入れた瞬間にジュワっととろけ、肉の甘みがいっぱいに広がる。そうした料理に隠れがちだが、ご飯の美味しさも忘れてはならない。米は伏見向島産のコシヒカリを使用。それに自家製のジャコ山椒がかかっている。あれこれといただき、お腹は十分満ちているはずなのだが、山椒の香りに食欲が刺激されてお代わりをもらいたくなるほどである。割烹寿司 三栄〈河原町〉静かな路地の奥に佇む名店で京の夏の風物詩「鱧」を味わう卓越した技術で調理された本物の鱧の味が堪能できる店カウンターが7席、テーブルは8席。その他に10名程度入る座敷を用意。人や車の流れが途絶えることのない四条通と河原町通。この2本の大通りが交差する一帯は、京都一の賑わいを見せるエリアといっても過言ではない。そんな河原町通と、並行している木屋町通に挟まれた路地の奥へと足を踏み入れれば、表通りの喧噪が嘘のように静かな光景が広がる。その一角に昭和9年(1934)創業の割烹、寿司の名店「三栄」がある。ここのお昼ご飯は、これからの季節ならば鱧料理に尽きる。「鱧はお客様が来店なさってから骨切り、湯引きといった下ごしらえを始めます。作り置きをしたものだと、ゴムのような食感になってしまう恐れがあるのです。それでは鱧に対する悪い印象を抱かれてしまうでしょう。鱧料理を看板に掲げている以上、それは許せませんから」三代目の清水敏夫さんは、こう話しながら鱧の骨切りを進める手を休めることがない。骨切りというのは、小骨の多い鱧を調理する際に不可欠な作業。皮一枚だけ残し、1寸(約3㎝)に包丁を24~26回入れるのが理想といわれている。清水さんは「技術の良しあしは鱧を裏返せばわかる」と語る。その言葉通り、清水さんが骨切りした鱧には、包丁が美しく入れられている。鱧料理に関するこだわりは、骨切りだけではない。それは鱧しゃぶの出汁にかけた驚くほどの手間暇である。まず鱧の頭と背骨をこんがり丁寧に焼く。大鍋いっぱいにアルカリイオン水を張り、そこに出汁昆布をたっぷりと入れる。さらに九条ネギと鱧の落としを作る時に使用した、鱧のエキスがたっぷり出た水を入れ、アクを取り除きながら沸騰させ、約40分間煮込む。アクが出なくなったら酒をたっぷりと入れ、さらに1時間ほど煮込むのだ。その後、骨や頭、昆布を全て取り除き、大量の鰹節を入れ、ひと煮立ちしたら火を止めペーパーで漉す。仕上げに薄口醤油、味醂、塩、砂糖で味を調えれば完成。濃厚で鱧の旨味をさらに引き出してくれる。「鱧旬菜御膳」は4月27日から提供。これは鱧を約半分いただくメニュー。このスープを使った鱧しゃぶも頂ける「鱧旬菜御膳」(7000円)は、鱧にあまり馴染みがないという人にも、もってこいの献立。骨切りの技の違いが如実に出る鱧落としや、鱧を美味しくいただくのに最適な調理法といわれる天ぷらといった定番料理に加え、サクサクとした食感と香ばしさがクセになる鱧骨せんべいなど、全部で9品が味わえる。極上のスープが愉しみな鱧しゃぶは小鍋で提供されるので、女性でも残さずいただけるだろう。そして〆の鱧寿司も絶品である。鱧は淡白な魚なので、調理次第で味わいは無限に広がるといっても過言ではない。少し甘辛く味付けされた鱧は、酢飯との相性は抜群。しかも骨切りされた食感がしっかりわかる独特の歯応えは、かなりお腹が膨れた状態でもスッと入ってしまうだろう。※こちらは男の隠れ家2019年6月号より一部抜粋しております

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  • うまい団子が食べたい

    たれともちもちの食感、いつ食べてもホッとする素朴な味わいーー。日本人にとって団子はいわば〝味覚のノスタルジー〞。うららかな春の日に、うまい団子を求めて街へ出る。1.うさぎや(阿佐ヶ谷)苦難の時代を超えて今に続く母から受け継いだ味と誇り左上/表面につけた焦げ目に粘度の高いたれがよく絡み、香ばしく甘じょっぱい仕上がりに。左下/朝一番で小豆を煮て作るこしあんはなめらかで上品な甘さ。右/1日に150本作る団子は全て手作り。JR阿佐ヶ谷駅のすぐ近く、「うさぎや」は70年の歴史を持つ和菓子屋。上野と日本橋にも店があるが暖簾分けではなく、初代の子孫がそれぞれ店を継いで営んでいるのだという。阿佐ヶ谷にある同店は、現在の店主である瀬山妙子さんの母・龍さんが始めた店。戦後間もない昭和25年(1950)に西荻窪で小さな店を開いたのが始まりだ。当時は砂糖や小豆、米などの確保が困難だったが、本物の材料しか使わないというのが母・龍さんのこだわりだったという。「プライドが高い人だったから、安い人工甘味料もあったけど絶対に砂糖を使っていました。創業時は上生菓子や鹿の子、饅頭を売ってたんですが、それじゃあやってけないよと職人に言われて、団子やどら焼きも売り始めるようになったんです」開店間際の作業場は慌ただしく動く職人たちの活気であふれていた。うさぎやの団子はもっちりとした食感と大ぶりなサイズ感が特徴。みたらしは飽きの来ない甘さで、表面につけた焦げ目と甘じょっぱいたれのバランスが絶妙だ。あんこに使う小豆は創業以来、仕入れ先は変えず信頼した材料のみを使い続けているという。店で働いて20年になるという職人の丸山さんは「シンプルなだけに、特にあんこの味は変えないように気をつけています。ほんの少しの味の変化にもお客さんは気付くものですからね」と話す。戦後の混乱期を乗り越え、誇り高く生き抜いてきた和菓子屋の味と伝統、その想いはこの先も続く。2.松島屋(泉岳寺)100年続く老舗和菓子屋の真心こもったおもてなし左・右下/切って、丸めて、串にさす。機械は使わず全て手作業。右上・中/うるち米の粉で作られた生地を蒸籠で蒸して、ほどよい弾力のある固さになるまで臼でつく。店主が暖簾をかけ終わるか否か、開店と同時に朝一番の客が手作りのその味を求めてやってくる。泉岳寺駅からほど近く、伊皿子坂をのぼり切ったあたりにある「松島屋」は大正7年(1918)に創業、100年以上の歴史を持つ老舗和菓子屋だ。かの昭和天皇も贔屓にしたという豆大福が人気の有名店だが、みたらし団子は知る人ぞ知る名物。長時間、蒸籠で蒸した生地を、創業時から使い続けている大理石の臼でつき、一つひとつ箸で切って丸める。大きさも不揃いで手間暇かかる作業だが、3代目店主の文屋弘さんは、創業時の作り方を変えずに受け継いでいくことが〝お客様に対する最高のおもてなし〞だと感じているそうだ。「レシピなんてありませんから、作り方は先代の仕事を見て覚えました。親子3代続けて買いに来てくれるような方もいて、そういう方のおかげで続けて来られたんだと思います。昔ながらの手作りの味をこれからも守り続けていきたいです」松島屋の団子はみたらし団子のみ。砂糖と醤油だけのシンプルな味だからこそ飽きが来ない甘さに仕上がる。コンロに直接網を置いて、直火でカリッと焼いた団子の香ばしさが食欲をそそる。たっぷりたれを浸けてくれる気前の良さも嬉しい。店先に飾られている写真にはピースサインで写る優しそうな先代の姿が。「父は恵比寿様のような人でした」と話す弘さんの笑顔もまた、先代に似た優しい面持ちだ。手作りの味と明るい店主の人柄に魅せられて、今日も店には多くの客が訪れる。3.桃六(京橋)食欲をそそる生醤油の香り 創業時から変わらぬ味に舌鼓焼き色と生醤油の香ばしさが食欲をそそる名物「桃太郎だんご」。明治2年(1872)創業の「桃六」は、京橋の地で150年続く歴史ある和菓子屋だ。名物「桃太郎団子」は、こしあんと醤油だれの2種類。近隣に宮内庁御用達の酒屋があり、鮮度の高い醤油が手に入りやすかったこともあり、みたらしではなく生醤油の焼き団子を売り始めた。しっかり焼き色をつけた団子に辛めの醤油だれが絡まり、香ばしい香りをまとう。5代目店主・林登美雄さんは、「たれは創業以来、継ぎ足して使っています。この味が好きで来てくださるお客様のために、この先も守っていきたいですね」と話す。変わりゆく時代の中で、愛され続ける古き良き味わいは、この先も店と共に歴史を刻み続けるだろう。4.五十鈴(神楽坂)本来の味わいを生かす徹底した素材へのこだわり餡まで手作りの団子は、こしあん、ずんだ、みたらしの3種類。昭和21年(1946)創業の「五十鈴」は、神楽坂の歴史と共に長きにわたって歩んできた街の和菓子屋。現在は、2代目社長・相田茂さんが店の伝統と味を受け継いでいる。40年ほど前から販売しているずんだ団子は、子どもの頃におやつとして食べていた母の味を、茂さんが再現したもの。その素朴で懐かしい味わいを求めて、遠方から買いに来る客も多い。先代からの教えで素材には徹底的にこだわり、生地には自家製粉した粉を使っている。「自分が美味しいと思った味が、お客様に喜んでもらえるのは嬉しいです。店のこだわりが伝わっているのかなと思います」店先では女将がめいっぱいの笑顔で客を迎える。真摯な姿勢と最高の味、それが同店の魅力に違いない。※こちらは男の隠れ家2022年4月号より一部抜粋しております

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  • 心と体が幸せになる 食事の時間

    食のエッセイストとして知られる玉村豊男さん。信州でワイナリーを始めて、来年2018年でで15年目になるという。今回は毎日の食事を自ら作っている玉村さんに、心と体が健康になる食事の楽しみ方を聞いた。玉村 豊男(たまむら とよお)1945年、東京都生まれ。1971年東京大学仏文科卒業。在学中にパリ大学に2年間留学。通訳、翻訳業を経て文筆業に。1977年に『パリ 旅の雑学ノート』を刊行して以来、エッセイストとして旅と都市、料理、食文化、田舎暮らしなど、幅広い分野で執筆を続ける。1991年より長野県東御市に移住し、農園ヴィラデストを経営している。「食べる」ことを大切にするフランス人いい眺めでしょう。ブドウ畑に囲まれて遥か彼方には北アルプスの山々。この里山で畑仕事をするつもりが、いつのまにかワイナリーとカフェのオーナーになっていました。最初に田舎暮らしを始めたのは軽井沢です。テニスやアウトドア料理を楽しんでいたところ、肝炎を患って。病気がきっかけで、46歳の時にここに引っ越してきました。当時は物書きの傍ら、宝酒造のTaKaRa酒生活文化研究所の所長を務めていました。宝酒造のワイナリー造りに協力しているうちに計画が頓挫。ところが、宝酒造から派遣されていた小西超という男が自分たちでワイン造りをしたいという。妻には反対されましたが2003年から醸造を始めました。日本ワインコンクールの最高金賞などを受賞、日本を代表するプレミアムワインと評価されるようになりました。現在、東御市を中心とする「千曲川ワインバレー」には、志のある若者たちが数多く集まってきています。料理とワインは学生時代、パリに留学した時に覚えました。フランスで学んだことは「飯は決まった時間に食う」。フランス人は仕事を中断してでも、昼は2時間ほど食事をします。日曜日なら郊外の別荘で、12時頃から料理を作りながら4時間かけてゆっくり食事をするのです。フランス人にとって食事は最大の関心事です。日本のように酒が中心でなく、料理を楽しむためにワインを飲みます。味にはうるさくグルメですが、食事の時には料理の話はしない。仕事の話もしない。話題は社交的な話、映画、本など文化的な話が中心です。時には小咄とかも。みんなで料理を食べる時の時間の経過を共有して楽しむ。フランス人は子供の頃から食事の習慣を仕込まれます。本は読まなくても、食卓がフランス人の学校になっています。右/ヴィラデストワイナリーの代表的ワイン「ヴィニュロンズ リザーブ シャルドネ」。左上/周辺には垣根仕立てのブドウ畑が広がる。左下/カフェで提供される野菜は地元で採れるもの。日本人は食事の時に緊張し過ぎです。おしゃべりや人に見られて食べることが苦手ですね。特に古いおじさんたちは絶滅危惧種。今やお洒落なレストランは女性ばかりでしょう。何を食べるかはその人のものの考え、思想を表します。男性も女性と同じように食のリテラシーを持ち、食事の楽しみを知ってほしい。どんなに忙しくても、ゆったりとした時間をつくることが大事です。食事の楽しみとはみんなで美味しいと盛り上がりながら食べること。美味しいと言いながら食べて飲んで、楽しい時間を過ごし、帰り道では何を食べたか忘れるくらいがちょうど良いのではないでしょうか。肝炎を患ってから2カ月に1度の血液検査。自分で数値を見て食事に気をつけています。ただ、うちの野菜は無農薬ですが、ガチガチのオーガニックでは楽しくない。自分が快適に思うなかで、楽しめる範囲で、自分の食生活を作っていけばいい。これを食べたら健康になる、野菜を1日30品目食べなくては、などのこだわりは不健康です。今日の食事が健康に良くないものだったら、明日健康的な食事をすればよい。1週間くらいのスパンでバランスをとりながらゆったりと考えたいものです。例えばワインと料理のマリアージュなんて、ソムリエに任せておけばいい。フランス人は昔からその土地でできるものを食べて、その土地でできるワインを飲んでいました。日本人は難しく考えがちなので、日常的にワインを飲むことが広まらないんです。もっと気楽に食事をしてお酒を飲んで、笑顔とともに楽しい時間を過ごしてほしいですね。ヴィラデストガーデンファームアンドワイナリー/ワイナリーカフェでは農園採れたてのハーブ、野菜などを使った料理とワインが楽しめる。食後は花々が咲き乱れるガーデンを散策。ゆったりとした時間を過ごせる。長野県東御市和6027※こちらは男の隠れ家2017年10月号より一部抜粋しております

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